今回は、少々特殊なアメリカ軍フィールドジャケットを分析します。
勿論、官給品ではありませんが、悪徳業者によって「当時もの」として販売されている場合もあるようですね。
これを機会に、あなたの識別眼を養っていただければ幸いです。
中古品ですが程度は良好ですよ!
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目次
1 アメリカ陸軍M43フィールドジャケット(撮影用)とは?
今も昔も映画の都であるアメリカの「ハリウッド」。
でも現在は、チャイナマネーの影響で、だんだん内容がおかしくなってきましたね。
(プーさん率いる天安門事件国に忖度し過ぎです。)
とは言え、その膨大な制作費にモノを言わせて造る映画は、とてつもない作品が多いのも事実ですね。
特に戦争映画は、膨大な費用がかっている作品が多いです。
1950年代から1960年代の作品は、当時の実物である車両や航空機を、惜しげもなく撮影に使用し実際に爆破させたりしていたのには、本当に驚きました。
(今思うと迫力はありましたが、かなり勿体無かったですね。😅)
しかし、個人装備…特に衣類に関しては、あまり重視していなかったのか、かなりいい加減でしたよ。
第二次大戦の物語なのに朝鮮戦争やベトナム戦争の装備だったりなんていうのは、日常茶飯事でしたね。
また、数が揃えられない装備は作ってしまえ…と何百人もの衣装を新しく作ってしまう場合もありました。
(「史上最大の作戦」のアメリカ軍空挺ジャケットなど。)
今回のモデルは、そんなハリウッドが映画やドラマ撮影用に制作したM43フィールドジャケットになります。
一部を除いて、かなり正確に再現されていますよ。
さてさて、どんなジャケットなのでしょうか?
今回は第二次大戦中のアメリカ軍装品マニアのみならず、映画ファン、初心者コレクターの貴方と一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
外観は問題なくM 43フィールドジャケットそのものですね。
背面
前面裏側
ライニングもちゃんと再現されています。
背面裏側
前合わせはボタンのみですが…問題点もあり。
(後述します。)
品名と取り扱い方法のプリント
こんな所まで再現
サイズタブ
確かにこんなタブのモデルもありますが、通常着丈が記入されていますね。
(例:42Rとか)
エポレットはテーパー付きのクサビ型です。
心なしか縫製が甘いですね。
部分的にワザと変色させて、汚れや使用感を表現していますね。
胸ポケット
ポケット幅より狭いポケットフラップに注意
ボタンで開閉
腰ポケット
側面に設けられているところも再現。
ボタンで開閉。
ボタンフラップの処理
当時の官給品は、ボタンフラップの一部が等間隔に縫われていて、各ボタンホールが独立しています。
今回のモデルも再現していますが、ボタンホールの箇所に縫い目がきていて、このままではボタンを閉めにくいです。
この辺りは手抜き…というかミスですね。
(衣装ならでは…ですね。)
内側のカーキの補強生地は再現されています。
左ポケット横の三角ステッチ
これも再現していますが、縫製が今ひとつですね。
襟はチンストラップで立てる事ができますが、その下のボタン位置が悪く、全てのボタンを留めると、胸の生地にシワができてしまいました。
この辺りのアライメントも、いい加減ですね。
袖
ややテーパー付き。
袖口はマチ付き。
ボタンで開閉・調整。
背中ドローコード格納場所の縫製
ラインが曲がっていて、緊張感がありませんね。
右腰ポケット内のタグも再現していますが、材質と処理がちょっと違うようです。
有名な101空挺師団のパッチ(ワッペン)
このパッチだけで、どんな映画に使用されたのかわかる方がいるかもしれませんね。
サイズと着用する俳優さんの名前?
当時の官給品との比較
左:今回のモデル
右:当時の官給品
ボタン
明かに形状が違いますね。
上:今回のモデル
下:当時の官給品
ポケットフラップ裏側のボタンホールタブ
左右の補強ステッチが全く違いますね。
上:今回のモデル
下:当時の官給品
胸ポケット下端の補強ステッチ
上:今回のモデル
下:当時の官給品
前身頃のボタンフラップ補強ステッチ
上:今回のモデル
下:当時の官給品
袖のマチ
当時の官給品は、僅かに色調の違う生地を使用する場合もありました。
袖口
マチの切れ込みが、浅いのが今回のモデルですね。
左:今回のモデル
右:当時の官給品
ウエストのドローコードは現代のやや太めの「紐」です。
おそらくポリエステル製
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3 その特徴とは?
シェルのカラーですが、赤味がかったODです。
実際にも、メーカーによってはこんな色調になるモデルがありますね。
しかし、今回のモデルは、意図的にさらにブラウンで、使用感や汚れを表現してあります。
(ハリウッドマジック?)
そのため、じっくり見るとやや不自然です。
生地は、コットンサテンですが、薄くて軽量です。もしかしたら、ポリエステル混紡かもしれませんね。
(アメリカ軍ユーティリティジャケットに近い生地です。)
オリジナルのM43フィールドジャケットと比べると、ペラペラで不安を感じますよ。
逆に通気性は抜群です。
(当時のオリジナルはとても上質な生地で出来ていたというのが判ります。)
デザインは、当時の官給品をよく再現していて、遠目には実物に見えます。
ただし細部を見ていくと、ボタンが留めづらかったり、全ボタンを留めると表面の生地がシワになったりと、衣装独特の雑さがありますよ。
面白いアイテムですね。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1990年代
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 コットン
(ポリエステル?)
表記サイズ 42
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約80cm
肩幅 約51cm
身幅 約62cm
袖丈 約63cm
状 態 中古上品
官民区分 民生品
入手場所 ヤフオク
入手難易度 4(極めて困難)
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5 まとめ
撮影でアップになる主人公ならともかく、脇役の衣装としては必要充分な再現度ですね。
近年放映されたブラッドピット主演映画「フューリー」に出てきた M43フィールドジャケットより遥かに出来が良いように思います。
(今回のモデルはシェルのカラーからして及第点です。)
もし、映画やドラマなどでこのジャケットの出演が特定できたら、作品の記念品的なアイテムと言えるでしょう。
ただし、あまり知識のない初心者コレクターや戦争映画マニアに高く売りつけてくる悪徳マニアや業者が横行しているので、注意が必要です。
もし同じようなモデルを見つけた場合は、即決して購入するのではなく、本当にこれがオリジナル(当時ものか撮影用か)をよく確認する必要があるようですね。
( 騙されて購入するのと、知ってて購入するのは大違いですからね。)
場合によっては根拠を示して、値引き交渉も可能でしょう。
今回のモデルは、映画撮影用の衣装でしたが、昨今は生地や細部を忠実に再現したモデル品が国内や海外でも販売されているようです。
国産品は、必ずメーカー名などがタグで締めさえれていて、クリーニングタグも完備しているので、識別は可能です。
一方海外の製品は、タグが一切ないか、今回のモデルのように、縫製がいい加減なところがあるようです。
今後とも要注意ですね。
今回は、アメリカの映画などの撮影に使用されたM43フィールドジャケットを分析しました。
いやー映画衣装も、なかなか素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20231120更新)
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参考:モデル品とオリジナルのM43フィールドジャケットに関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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