今回は、1980年代のアメリカ陸軍個人用携帯ストーブを分析します。
昔はこんなガソリンストーブが登山者の主流装備でしたね。
さすがに現代では使用されていないようです。
少々傷んでいますが、デッドストックですよ!
目次
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1 アメリカ陸軍M1950携帯ストーブ(コンロ・シングルバーナー)とは?
最近、ゆるいキャンプアニメの影響からか、キャンプや野外でのBBQブームが続いていますね。
燃える炎を見て、美味しいものを食べることは、心のリフレッシュにつながっているようです。
でもその一方で心ない人々が、してはいけないところで焚き火を行い、自然や自治体に迷惑をかけていることがあるとニュースで観ました。
直に地面での焚き火は、その痕跡が100年以上そこに残る場合もあり、自然に与えるインパクトは計り知れないものがあります。
日本人なら、数多のことに想いを巡らせ、良識のある行動をとってほしいですね。
ところでじつは戦場において焚き火は厳禁です。
部隊の位置が露呈しますし、ベテランのチェイサー(追跡者)によると、焚き火跡を見ただけで部隊規模がわかるといわれています。
とはいえ、敵弾飛び交う最前線はともかく、前線から離れた後方では調理や暖をとるために何かしらの火が必要な場合もありますよね。
そこで開発されたのが、各種ストーブ(コンロ・バーナー)です。
今回のモデルは、アメリカ軍が1950年代に採用した、ガソリンを燃料とするシングルバーナーになります。
(分隊から個人くらいまでが対応可能です。)
1940年代に開発されたモデルをよりコンパクトに、そして近代化したモデルですね。
1940年当時のストーブ
(これはこれで欲しいです!)
でも実際に使用され始めたのは、1960年代からとの説もあります。
さてさて、それはどんな携帯ストーブなのでしょうか?
今回は軍装品マニアのみならず、ガソリンストーブの音や操作が懐かしいあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
左側面
右側面
背面
上面
五徳(ゴトク)は展開することができます。
かなり大きい鍋も据えることができますよ。
下面
客は開くことができます。
脚安定板には穴があって、小さいペグなどで固定できます。
コック
燃料口のキャップと圧縮用ポンプ
タンク内の空気を圧縮して強制的にノズルから燃料を出すことができます。
タンクの刻印
1985年度契約品ですね。
付属のノズルとレンチ
右端は、ノズルのケース
レンチは本体に取り付けることができます。
燃焼部の支柱には専用の金属板で暴れるのを防いでいますよ。
とても考えて設計されていますね。
五徳は、トップの溝に入れて固定します。
タンクのコーションシール(注意書き)
ケース
アルミ製で、蓋は食事用の容器として使用可能。
本体は鍋として使用可能…でしょうか?
(袋麺は茹でづらいですね。)
ケースは意外にタイトで、各パーツをちゃんと格納しないと入りません。
蓋はストーブの形状で2段階に調整可能
右に捻るとロックできます。
ケース本体には2個の突起があって、蓋の溝に合わせます。
蓋頂部の刻印
運よく同じ契約年度ですね。
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3 その特徴とは?
ODに塗装されたタンクの上部に燃焼部と展開できる3枚の五徳があります。
下部には折りたたみ式の脚が3本(3枚?)あります。
初期の型では、沢山の五徳、脚なし(脚ありモデルもあったようですが。)でやや不安定でしたが、大幅に改良されていますね。
タンクには、燃料の噴出を制御するコックと、タンク内に空気を送り込むポンプが付属しています。
全体的に縦に長いデザインで、大きい鍋などを据えると、やはりやや不安定ですね。
(転倒の恐れがあります。)
付属品として、専用ケース、レンチ、ノズルがあって、全て本体に取り付けることができますよ。
ケースはアルミ製で、食器としても使用できる…と言われていますが、おそらく緊急事態以外難しいかも。
全体的な造りは、とても周到で、よく考えて設計されています。
(例えば五徳の展開・収納方法、脚、ポンプなどなど。)
じつはこのモデルのT/O(技術司令書:取説やパーツリスト)がどこかにあるのですが、特外中(休暇かな?)です。
(要するに、また無くしているのよね?…と、またまた奥(神)様から冷静なツッコミが!その通り!)
帰ってきたらアップします。😓
4 製造とサイズのデータ
製造・契約年度 1985年
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 ステンレス
スチール
ブラス
アルミニウム
プラスティック
各部のサイズ(平置)
全高 約54cm
全幅 約39cm
使用燃料 レギュラー
ガソリン
ホワイト
ガソリン
状 態 デッドストック
官民区分 官給品
入手場所 岐阜の釣具店
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
pin.it
1940年代当時に採用されたストーブは、おそらく当時としては画期的な製品だったと思われます。
薪や可燃物を燃やす焚き火に比べ、いつでもどこでもガソリンさえあれば煮炊きできるのですから。
ガソリンを主に使用しているので引火の危険性はありますが、灯油モデルより火力が強くベタベタしないのが魅力ですね。
またポンプが付属していて、事実上プレヒート(燃焼部を予め熱してタンク内の圧力を上げる方法)が不要なのも助かります。
同じ時期からこの技術が登山用のガソリンストーブに転用され始めましたが、ここでもミリタリーの技術が民間に生かされているわけですね。
今回のモデルは、それまでのモデルよりコンパクトになったとはいえ、まだ背が高く不安定な印象が残っています。
そのせいでしょうか?
今回のモデルの後継には、全高のさらに低いコールマンのピーク1(市販品と同じモデル)が採用されましたよ。
でも、今回のモデルを含むガソリン系のストーブは、現在大々的に使用されていません。
燃料の危険性や点火にコツが必要…というのが原因のようです。
手軽なカセットガスが簡単に入手できるようになったのも、それに拍車をかけているのかもしれませんね。
だからでしょうか?約30年くらい前には、中古品が大量に放出されていました。
(中にはデッドストックもありましたよ。)
残念ながら今回のモデルも、2021年現在あまり見かけることがありません。
(コールマンピーク1は現在でも入手可能!)
でも、もしかしたらアメリカ軍が駐留している地域のミリタリーSHOPでは、中古品が入手可能かもしれません。
探してみましょう!
購入後実際に使用する場合は、できれば信頼できるSHOPで一度点検や点火テストをしてもらうことをおすすめします。
(専用のサイトや動画もありますよ。)
ところで、必要性がなくなったとはいえ、災害時には、自動車やバイクのガソリンで火が起こせるのは、ある意味貴重なストーブかもしれませんね。
何より点火までの手順は、何か神聖な儀式のようでもありますし、独特の燃焼音はノスタルジックな気分にしてくれますよ。
焚き火に通じる何かがあるのかもです!
(ミリキャン:ミリタリーキャンプにおすすめですよ!)
今回は、野営地で使用するアメリカ軍のM1950携帯ストーブを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20231115更新)
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参考:他のアメリカ軍野営装備に関する記事はこちらです。⬇︎
今回のストーブと同時期のアメリカ陸軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
他のアメリカ軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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