今回は、1940年代のアメリカ陸軍ウインターコンバットジャケットのモデル品を分析します。
モデル品としてはやや古い製品で、オールドミリタリーマニアのあなたには懐かしいかも?
今回は、「モデル品タンカースジャケット」の謎についても触れてみたいと思います。
今回も中古ですが、程度は良いですよ!
目次
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1 アメリカ陸軍タンカースジャケット(ウインターコンバットジャケット・グリーンタイプモデル品2種)とは?
当ブログでは、これまでもタンカースジャケットのモデル品をいくつか取り上げてきました。
でもそれら全て、シェル(外皮)の生地が黄色味の強いカーキ(黄褐色)でしたね。
当時製造された官給品タンカースジャケットは、カーキ生地を使用したものが最も多かったのでそれも当然かもしれません。
でも、中にはオレンジ色に近いものやグリーン(カーキグリーン?)系の生地を使用した官給品も確かに存在したようです。
それらの「別色」のモデルは昔の戦争映画で衣装として一部で使用されているので、今でも確認することができます。
(映画「パットン大戦車軍団」冒頭のジープ兵士、「戦略大作戦」でクリントイーストウッドが着用しているモデル参照)
この当時(1960年代)のアメリカでは、モデル品タンカースジャケットを準備しなくても、大戦中の官給品が数多く残っていたので、普通に衣装として使用できたのですね。
(羨ましい!)
そのため、たまたまスクリーンに違うカラーのモデルが写ってしまった訳です。
でも、現在販売されている国内外のモデル品タンカースジャケットは、全てカーキタイプになっていますね
何故でしょう?
(これがいわゆる「モデル品タンカースジャケットの謎」ですね。)
今回のモデルは、1980年代に老舗モデル品メーカーから、カーキタイプのバリエーションとして販売されていたものです。
でも圧倒的に数が少なく、モデル品なのにプレミアがついたり、探しているマニアが多いという面白いアイテムですね。
さてさて、それはどんなタンカースジャケットなのでしょうか?
今回は、大戦中のアメリカ軍マニアのみならず、戦争映画ファンのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
初期生産型
(中古極上品)
前面
背面
前面裏側
赤味の強いOD毛布生地。
背面裏側
背面のライニングのプリーツは省略。
襟周りレイアウト
前合わせはジッパーのみ。
ウインドシールド(ストームフラップ)付。
タグ
1985年1月製?
ジッパーはYKK
動きがとても良いです。
ジッパーエンドも損傷なし。
腰ポケット
ポケット内生地もシェルと同じです。
シェルの生地
一般的なツイルです。
ライニングの毛布生地
袖
テーパー付。
背面左右にあるアクションプリーツ
襟ニット
袖ニット
ニットに小穴あり。
(ニットは消耗品…ですが、このODは入手が難しい?)
袖ニット裏側
ニットは筒縫いではありません。
腰ニット
後期生産型
(中古上品)
前面
シェルは、カーキモデルよりグリーンが強い色調ですね。
それでも初期生産型よりもカーキに近いです。
背面
前面裏側
ちゃんとウールの毛布生地(薄いタイプ)になっています。
初期生産型より緑味が強い生地。
(ニットとの色調差が少ないですね。)
背面裏側
背面のプリーツ部分は省略されています。
襟周りレイアウト
襟のニットもグリーンですね。
前合わせはジッパーのみです。
ウインドシールド(ストームフラップ)に注意
タグ
初期生産品と同じものですね。
ジッパーは「SCOVILL」の「GRIPPER」
リッチですね!
胸ポケット
官給品よりやや低い位置についているのがこのメーカーの特徴です。
ポケット内部の生地もシェルと同じです。
袖
ややテーパーが付いています。
袖ニット
継ぎ目のない二段の筒縫いですね。
裾ニット
現在の多くのモデル品より、ニットの幅が狭いです。
背中にはちゃんとアクションプリーツが。
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3 その特徴とは?
シェルは一般的なカーキとは違い、ややグリーンがかった生地なのが特徴です。
シェルカラー比較
今回のモデル
初期生産型
後期生産型
比較用
カーキモデル
明らかに生地の色調が違っていますね。
強いて言えば、初期生産型はのちのOG-107に、後期生産型は陸軍HBTユーティリティジャケットの色調に似ています。
ライニングは初期生産型が赤味の強いOD、後期生産型が緑みの強いODに染められたウールフランネルで、ほぼ全面にあります。
(でも両モデルともプリーツは省略されていますよ。)
襟、袖口、裾はニットですが、これは濃いオリーブグリーンで、シェル、ライニングとのコントラストが美しいですね。
デザインは、標準的なタンカースジャケットと同じで、エポレットなし、胸ポケット×2です。
このメーカーのタンカースジャケットは、胸ポケットの位置が官給品よりやや下に付いていて、使いやすいのが特徴ですね。
全体的な縫製は、やや古い感じがしますが、丁寧で正確です。
サイズは「40R」と表記されていますが、42(インチ)くらいのサイズ感ですよ。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1980年代
製造場所 日本
契約会社 日本
製造会社 〃
材 質 コットン
ウール
表記サイズ 40R
(日本人のL〜XL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約65cm
肩幅 約54cm
身幅 約62cm
袖丈 約63cm
状 態 中古良品
官民区分 官給品
入手場所 名古屋の専門店
入手難易度 4(極めて困難)
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5 まとめ
世間では、多数製造されたモデルがいわゆる標準タイプと呼ばれるようになります。
タンカースジャケットではカーキモデルが標準なタイプだとすると、やはりモデル品も標準タイプをモデル化するのは当然ですね。
ところが940年代では生地の品質管理が現代ほど厳格でなかったのか、シェルのコットン生地の色調には悪作があったようです。
(ある意味、アメリカ軍あるあるなのですが…。😅)
あとグリーンモデルが日射による褪色でカーキになったという説もあります。
このあたりがタンカースジャケット=カーキモデルという図式が出来上がった要因かもしれませんね。
それはともかく今回のグリーンモデルは、標準的なカーキモデルとは違った魅力があるように思います。
各モデル品メーカーには、カーキモデルと同じレベルでグリーンタイプも製造して欲しいものですね。
(もしかしたらカーキモデルほど売れないかもしれませんが…。)
今回のモデルを一着の防寒着としてみた場合、他のカーキモデル同様ライニングが毛布のような生地なので、着用するととても暖かいですね。
でも真冬には着込まないと少々役不足の感もあります。
逆に春とはいえ、朝夕の冷える気候にはピッタリのジャケットですね。
さて今回のモデルですが、1980年代ならいざ知らず、2現在では全く見かけることが無くなりました。
何年か前に、今回のモデルがオークションに出品されているのを見ましたが、中古品が数万円(1980年代では新品では1万円少しで購入できました。)で取引されていましたね。
勿論、店頭にはなく最早オークションやフリマでしか入手できないようです。
それでも欲しいあなたは、諦めず、根気良く、オークションをチェックしてみましょう!
(または古着屋さんやリサイクルショップ1)
私は同じモデルの「38」サイズを探してみます。
今回は、レアカラーのモデル品タンカースジャケット(ウインターコンバットジャケット)を分析しました。
いやー軍装品って、モデル品も本当に面白いですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20241104更新)
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参考:他のモデル品タンカースジャケットに関する生地はこちらです。⬇︎
* * *
Twitterで見つけました。
アメリカ映画に出てくる別カラーのタンカースジャケットです。
「パットン大戦車軍団」の冒頭シーン
ジープ上の兵士が色違いのタンカースジャケットを着用しています。
#鼻の日
— フリフリ (@furifuri66) 2019年8月7日
『パットン大戦車軍団』 pic.twitter.com/R9XQI2pZOV
「戦略大作戦」のクリントイーストウッド(左の人物)が着用しているタンカースジャケットに注意。
(右の兵士はM41フィールドジャケット(カーキ)を着用しているのでカラーの差が分かりますね。)
#細かすぎて伝わらない映画の好きなシーン
— 酒樽 蔵之介 (@KulasanM) 2020年8月16日
戦略大作戦のオドボールとタイガー戦車長が、よく見るといつのまにかジャケット交換までやってること pic.twitter.com/WiSTS24IUL
各メーカーさんにも、ぜひこのカラーのタンカースジャケットを製造してもらいたいですね。
読んでいただき、ありがとうございました。
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