今回は、1940年代のアメリカ海軍フライト・ヘルメット(ナイロン製)を分析します。
以前分析したアメリカ海軍ナイロンパイロットスーツと同じ生地が使用されていますね
酸素マスクを取り付ける箇所がありませんので、低空用だと思われます。
このヘルメットもデッドストックですよ!
目次
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1 アメリカ海軍フライト・ヘルメット(低空用・ナイロン製)とは?
人類が初めて機械で空を飛んだのは、アメリカのライト兄弟が最初でした。
(諸説あり。)
彼らの飛行機「ライトフライヤー」は1903年12月17日、4回目のフライトで260mを59秒で飛んだとされています。
計算すると16km/hで、自転車くらいの速度でした。
とりあえず低空をこの速度で飛ぶなら、普段着でも大きな問題はなさそうですね。
ところが1914年から始まる第一次大戦では、各国の戦闘機は優に時速100kmを超えてきていました。
しかも山を越えるくらいの高度にも上がれるようになりましたね。
僅か10年くらいで航空機の性能は目覚ましい向上を遂げた訳です。
ここまで速度性能や高度性能が上がると、パイロットの装備には防寒及び防風性能が求められるようになったのは、ある意味当然だったのかもしれませんね。
中でも頭部の保温は重要で、空気抵抗にならず、かつ頭部を保護・保温する各種フライトヘルメット(飛行帽)が各国で開発されました。
第1次大戦〜第2次大戦までは、主にコットン製や皮革製の飛行帽でしたが、戦後は革新素材とも言えるナイロン製のヘルメットも開発されるようになりましたよ。
今回のモデルは、大戦終了後にアメリカ海軍が支給したナイロン製フライトヘルメットになります。
比較的低空・低速で作戦する航空機のパイロット用で、昔ながらのデザインが特徴です。
やはり当時のアメリカが持っていた高い技術力を端的に顕した一品といえますね。
さてさて、それはどんなフライトヘルメットなのでしょうか?
今回は、アメリカ海軍パイロット装備マニアのみならず、ベテラン航空機モデラーのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
全体形
前面
背面
3本のレザー製ストラップが特徴です。
左側面
右側面
右側面裏側
左側面裏側
前部裏側の額部分には鹿皮の汗止めあり。
イヤーパッド
硬質ゴム製で、中に丸板タイプのイヤホンを装着できます。
イヤーパッド内側にも鹿皮
タグ
やはり品名がないですね。
チンストラップのバックル
金属製でODの塗装。
チンストラップには顎の部分に起毛したクッション材付き。
チンストラップの取り付け部には周到なミシン縫が施されていますね。
後頭部左右にあるストラップ
ダットファスナーで開閉。
これはゴーグルの脱落防止用ですね。
後頭部中央のストラップ
こちらは上下端が縫い付けられています。
これはイヤホンなどのコードをまとめておくためのもの。
ダットファスナー裏側の刻印
衣類の製造で有名なメーカー製。
以前分析したモデルとの比較
今回のモデル(左)は本体がナイロン製なので生地の艶が目立ちますね。
また酸素マスクを取り付ける基部がないのも特徴です。
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3 その特徴とは?
生地はOGに染められたナイロン製で、薄いながら強靭です。
デザインは、頭部に張り付くようなタイトなサイズ感で、硬質ゴム製のイヤーパッドがあり、ラジオのレシーバー(イヤホン)を組み込むことができます。
イヤーパッド内側は、上質な山羊革製で肌触りがとても良いですよ。
後頭部にはレザーのストラップが3本あって、うち2本はダットファスナーで開閉できます。
これはゴーグル(飛行眼鏡)ストラップの脱落防止用ですね。
チンストラップは単純なバックル式のレザー製ですが、肌に接する部分には肌触りの良い起毛生地のカバーが付いていますよ。
今回のモデルでは、ヘルメットに酸素マスクを取り付けることはできません。
全体的な縫製は極めて丁寧かつ正確で、驚くほど精巧にできています。
このヘルメットも、当時のアメリカが持っていた技術力を端的に示す製品ですね。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1940年代
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 ナイロン
レザー
表記サイズ EX-L(XL)
(61〜62cm)
状 態 デッドストック
官民区分 官給品
入手場所 名古屋の専門店
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
思えば大戦終了後は、それまでのレシプロ(ガソリンエンジン機)がジェット機に移行する時期でした。
そのためフライトヘルメットもそれまでのタイプと新しいタイプが混在し始める時期でもありましたね。
でも今回のモデルは、従来のモデルの材質を変更したのみに止まっているのが特徴です。
でも、以前分析したアメリカ海軍フライトヘルメット(7151〔AER〕・GENTEX社製)のように酸素マスクを取り付ける基部がないことから、やはり低高度用…そして(生地の薄さから)夏季用なのかもしれません。
それでも当時の多くのパイロット装備のように、一切の妥協のない造りは当時のアメリカの技術力を垣間見ることのできて興味深いですね。
ところでこの素晴らしい造りのフライトヘルメットですが、何故か有名SHOPでも見かけることがありません。
やはり生粋のアメリカ海軍パイロット装備マニア以外には需要がないので、出回っていないのも納得ですね。
(使用方法としては、リエナクト(コスプレ)くらいでしょうか?)
ただし着用以外でも使用することができます。
例えば、航空機モデラー。
自分で作ったキットの撮影用小道具として使用するのはいかがでしょうか?
大戦後の救難機や練習機のキットとともに撮影すると、インスタ映えしそうですよ。
(当時のフライトジャケットも添えれば、さらに映えそうです。)
探しているあなたは、ぜひ海外のオークションをチェックしてみてください。
私は、このフライトヘルメットを着用している写真や資料を探してみたいと思います。
(見つかれば後日追記します。)
今回は、アメリカ海軍のナイロン製フライトヘルメットを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それではまた、次回をお楽しみに!
(20230823更新)
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参考:同時期のアメリカ海軍パイロットスーツに関する記事はこちらです。⬇︎
他のフライトヘルメットに関する記事はこちらです。⬇︎
各国のフライトジャケットに関する記事はこちらです。⬇︎
他のアメリカ軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
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