今回は、1990年代の旧ソ連空軍迷彩パイロットスーツを分析します。
攻撃ヘリのパイロットが着用していることが多かったですね。
今回は中期型になります。
今回のアイテムもデッドストックですよ!
目次
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1 旧ソ連空軍迷彩パイロットスーツ(中期型・ブタン迷彩)とは?
ヘリコプターを開発したのは、第二次大戦末期のドイツ軍でした。
しかし敗戦に伴い、関係資料は全てアメリカとソ連(当時)が押収してそれぞれの国で研究・開発されました。
そしてヘリコプターが戦場で初めて使用されたのは朝鮮戦争でした。
アメリカ軍が、偵察、負傷兵輸送などに使用していましたよ。
(映画「MASH」参照)
でもこの当時のヘリコプターはエンジンがレシプロ(往復)エンジン(つまり、ガソリンエンジン)で性能は今ひとつでした。
しかし、1960年代にターボシャフトエンジン(ジェットエンジン)が実用化されると、性能が飛躍的に向上。
同時にアメリカ軍が新しい戦い方である「ヘリボーン(ヘリコプターでピンポイントに兵士を運び、戦闘や陣地構築を行う。)」をベトナム戦争に導入すると、世界中で研究が進むようになりました。
(映画「地獄の黙示録」、「ワンスアンドフォーエバー 」参照)
その過程で、特殊なヘリコプターが開発されましたね。
それがいわゆる攻撃ヘリコプターです。
ソ連製攻撃ヘリコプターは1970年代に開発されたミルMiー24ハインド(これはNATOのコードネイムです。)が有名ですね。
Mi–24ハインド
(なんか見た目が昆虫みたいですね。)
ハインドも含めた強力な攻撃ヘリコプターは、攻撃される側にとっては大きな脅威であり、優先して排除すべき対象です。
そのため撃墜される率が高いのも特徴ですね。
それを見越して、各国とも攻撃ヘリの機体やパイロットには特殊な装備を支給していますよ。
今回のモデルは、旧ソ連空軍がそんな攻撃ヘリのパイロット用に開発したセパレートのパイロットスーツになります。
明確な区分はありませんが、その仕様から中期型ともいえるモデルで、初期型とは少々違っている部分がありますね。
さてさて、それはどんなパイロットスーツなのでしょうか?
今回は旧ソ連軍マニアのみならず、迷彩服コレクション初心者のあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
ジャケット
前面
背面
前面裏側
初期型は内ポケットの生地がブルーでしたが、グレイや迷彩生地に変更されていますね。
背面裏側
前合わせはジッパーとダットファスナーです。
各種スランプ
こちらは製造所、サイズ、ランドリーデータのようです。
胸ポケット
角度が付いていて、ジッパーで開閉
ジッパーは金属製からプラスティック製に変更されていますね。
胸ポケットの中にはペンポケットが。
袖
単純な筒です。
背中にはアクションプリーツあり。
裏側にも生地が段になっていますね。
背中には左右に通気孔があります。
(左右で開口部の大きさが違っていたりします。)
裾のサイズ調整タブと金属バックル
メインのジッパー
左胸ポケットはホルスターも兼ねていますが、裏面の生地は迷彩ですね。
右胸ポケット
小さな内ポケットが追加されていますね。
小さな内ポケットは、隠しボタンで開閉
生地のナンバーでしょうか?
トラウザーズ
前面
背面
前面裏側
トラウザーズのスラントポケット内の生地も変更されていますね。
背面裏側
前合わせはボタンとホックです。
データスタンプ
腰のスラントポケット
膝ポケット
水平のジッパーで開閉
右腰にある細長具小さいポケット
ナイフポケットでしょうか?
すぐ上にDリングがあります。
裾は ダットファスナーで絞ることができます。
サスペンダー後部
ボタンでサイズ調整や取り外しが可能
サスペンダー前部樋付け部
こちらは金属製のバックルでサイズを調整します。
勿論取り外しが可能
今回のモデルは、サスペンダーのゴム部分が市販のゴムでした。
(なんかパ◯ツのゴムみたいですね!)
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3 その特徴とは?
迷彩は、カーキの生地にブラウンとダークグリーンでアメーバのようなパターンや雲型を描いています。
今回のパイロットスーツに使用されている迷彩生は、ブタン迷彩と呼ばれています。
この迷彩は、パターンや色調にいくつものバリエーションがあることで知られていますね。
でも今回のモデルは、最も多くみられる標準的な迷彩のようです。
生地は一般的なコットン製のツイルで、難燃繊維製ではないようです。
デザインは、西側の多くのパイロットスーツと違って、上下セパレートです。
ジャケットは、エポレットなし、胸ポケット×2、内ポケットでウエストにはサイズ調整タブ、背中には通気孔があります。
トラウザーズは、スラントポケット×2、膝ポケット×3で、サスペンダーを取りつけることができます。
面白いのは右側面に小さなポケットがあるところですね。
おそらくナイフ用ポケットなのでは?
全体的な縫製は、当時のソ連スタンダードで、やや雑で不正確です。
当時の西側製品と比べると、やや粗末な雰囲気があります。
でも、これが旧ソ連軍装備のある意味魅力ですよね!
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1984年
製造場所 旧ソ連
契約会社 旧ソ連
製造会社 〃
材 質 コットン
表記サイズ 170/108/100
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
ジャケット
着丈 約65cm
肩幅 約50cm
身幅 約63cm
袖丈 約58cm
トラウザーズ
ウエスト 約47cm
股上 約34cm
股下 約70cm
裾幅 約24cm
着丈 約103cm
状 態 デッドストック
官民区分 官給品
入手場所 沖縄の専門店
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
今回のモデルでは、同じ規格ながら微妙に省力化が図られているのがわかりました。
とはいえ、後期型ほどの品質低下はないようですね。
(今回のモデル単体では、初期型、後期型との大きな違いはよくわかりませんが、ぜひ当ブログの過去記事で確認してほしいところですね。)
当時のソ連がどんな物品管理をしていたのか…というのは、もう確認するのが困難です。
でも、こうやって同じアイテムを年代別に入手して比べると、ソ連崩壊の気配というか序曲を感じることができて興味深いですね。
面白いことに、ロシア軍も同じデザインのパイロットスーツを制作・支給していますよ。
(確かVSR迷彩だったと記憶しています。)
どうやら旧ソ連/ロシア軍系のお気に入りデザインのようですね。
今回のモデルは、すでに絶滅危惧種になっていて、市中で見つけるのは困難です。
ソ連/ロシア軍装備の専門店に問い合わせてみるか、いつものようにネットオークションやフリマに網を張って見つけるしかないようです。
元々生産数量も少なかったのですが、だからこそソ連軍マニアのあなたには入手してほしいですね。
迷彩服コレクション初心者のあなたも、諦めず探してみてください。
持っていると将来役に立ってくれるかもしれませんよ。
今回は、セパレートの旧ソ連空軍迷彩パイロットスーツを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20231023更新)
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参考:他の旧ソ連軍パイロット関連装備に関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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