今回は、1980年代と思われるイラク陸軍空挺迷彩ジャケットを分析します。
デザインはイギリス軍の空挺スモックを参考にしていますね。
迷彩もDPMなのですが、パターンとカラーがイギリス軍と違っているのが特徴です。
中古品ですが程度は良好ですよ!
目次
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1 イラク陸軍空挺迷彩ジャケット(DPM系迷彩)とは?
第一次大戦後にイギリスの占領統治を受けたイラク。
「植民地軍は、かつての宗主国の軍装を採用する。」
という諺どおり、イラク軍の軍装はイギリス軍に倣ったものが多いですね。
(ただしその後旧ソ連に接近、兵器は旧ソ連製がメインになりました。)
今回のモデルは、そのデザイン及び迷彩とも、イギリス軍の影響を大きく受けているようです。
それでも乾燥地帯のイラクならではの工夫もありましたよ!
さてさて、それはどんな空挺迷彩ジャケットなのでしょうか?
今回は、湾岸戦争以前のイラク軍装備マニアのみならず、迷彩服コレクション上級者のあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
よく迷彩を見ると、左右の生地上下方向が意図的に替えられていますね。
背面
前面裏側
背面裏側
襟周りレイアウト
襟内側にはODに染められたコットンの別生地が縫い付けられています。
前合わせはジッパーのみ。
タグ
例の三角マーク。
エポレットは、テーパーなしのラウンド型です。
胸ポケット
角度がついていてダットファスナーで開閉
腰ポケット
こちらは胸ポケットと逆に角度がついていますね。
ダットファスナーで開閉。
テイルピース用ダットファスナー
気のせいか位置がずれているような?
裾左右のサイズ調整タブ
その裏側には、力布付き。
内ポケット
左右にあります。
襟内側と同じODの生地。
脇の通気孔
金属製ハトメ付きで片側6個。
袖
テーパー付き。
袖ニット
少し硬いODニット
テイルピース
使用しない場合は背面に固定しています。
その裏側
テイルピース展開時
テイルピースは股間を通して、前見頃裏側にあるダットファスナーに留めます。
日本の褌みたいですね。
でも、よくよくダットファスナーの間隔を見たら…テイルピースと前見頃で大きく違っていました。😅
ジッパーは「YKK」
正しい選択ですね。
ダットファスナー
表面は明るいグリーンに塗装されています。
凸側は、ベース周囲に細かい丸い凹みがたくさんあるタイプ。
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3 その特徴とは?
迷彩は、タンの生地にグリーンとブラウンを用いて各サイズの雲型を描いています。
そしてブラウンのみ細かい斑点で一部にボカシを加えていますね。
一見イギリス軍が採用していたDPMにも似ていますが、よくパターンを確認すると類似している箇所が少ないです。
(むしろアメリカ軍のリーフパターンに似た箇所あり。)
迷彩比較
今回のモデル背面
イギリス軍DPM
(空挺迷彩スモック背面)
比べてみると、配色はともかく、パターンは全くの別物というのがわかります。
イギリス軍のDPMは、個々のパターンが丸い軌跡を描いているのに対し、今回のモデルはそんな統一性がありません。
(僅かに似たパターンもありますが…。)
またブラックの面積が多い印象もありますね。
どうやら、そっくりそのままのイギリス軍のパターンを採用するのではなく、独自のアレンジが加えられているようです。
生地はコットンサテンですが、粗く織られています。
デザインは、イギリス軍の空挺スモックを参考にしているようですよ。
構成は、エポレット付き、胸ポケット×2、腰ポケット×2、内ポケット×2で、袖口にはニットを配しています。
勿論、テイルピースも付属していますよ。
特筆すべきは、デニソンスモックのように襟には別生地が縫い付けられているところですね。
ただしデニソンスモックのようなウールではなく、コットンになっています。
全体的な縫製は、一見丁寧かつ正確ですが、テイルピースのダットファスナーは、かなりいい加減に取り付けられていました。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1980年代
製造場所 イラク
契約会社 イラク
製造会社 〃
材 質 コットン
表記サイズ L
(日本人のXL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約81cm
肩幅 約47cm
身幅 約56cm
袖丈 約63cm
状 態 中古上品
官民区分 官給品
入手場所 ヤフオク
入手難易度 4(極めて困難)
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5 まとめ
なかなか興味深い空挺迷彩ジャケットですね。
いわゆる「イラ・イラ戦争(イラン・イラク戦争)が思い起こされます。
しかし湾岸戦争後のイラク軍は、武器はともかく主要兵器や軍装は、アメリカ式に改変されているようですね。
とするなら今回のモデルは、今後入手困難なモデルと言えそうです。
ところで当初からこのブログを読んでいただいているあなたは、下の記事を覚えていますか?
これは1990年代に日本の大手ミリタリーSHOPが販売した、イギリス軍空挺迷彩スモックのモデル品を記事にしたものです。
「偶然入手した実物の迷彩生地を使用して製作」という謳い文句で、有名ミリタリー雑誌でも紹介されました。
でもこれは全くの嘘・デタラメで、このモデル品の迷彩生地はイギリス軍官給品の迷彩(DPM)生地とは迷彩色調、パターン及び生地のその全てが違う、似ても似つかぬものでした。
ところが、まだイギリス軍装備の知識に乏しかった私は、不覚にも入手してしまい大いに後悔したアイテムでもあります。
ところが、とある雑誌でイラク軍のDPM系迷彩を確認した時に、もしかしてこの駄作モデル品は、イラク軍の迷彩生地が原型か?…と思ったことがありました。
そして今回、そのイラク軍のDPM系迷彩生地で製造された空挺迷彩ジャケットを分析して、生地はコットンツイルとサテンの差はあれど迷彩パターンは同じ…ではありませんが、よく似ていることが判明しました!
以下、迷彩パターン(一部)の比較です。
今回のモデル
イギリス軍空挺迷彩スモック
(駄作モデル品:拡大左右反転させています。)
迷彩色調はともかく、パターンは僅かな違いを除き、酷似していますね。
(因みにこのパターンは上述のイギリス軍スモックには存在しません。)
イラク軍DPM生地と、国内販売された駄作イギリス軍空挺迷彩スモック生地とは、製造場所や製造過程において何らかの関連がありそうですね。
今回のモデルは、イラク軍の官給品ですが、じつは製造場所は不明です。
もしかしたらイラクが他国に注文して製造し輸入したものかもしれませんね。
そしてその製造所が、例の駄作空挺迷彩スモックの生地を製造していたのかも?
謎が謎をよび解決できないままではありますが、今後も調査を「ケイゾク」していきたいですね。
…それはともかく、今回のモデルは一着の迷彩服としてみた場合ポケットが多く、テイルピースも付属していることから、かなり使えるジャケットですね。
サバイバルゲームは勿論、野鳥観測、イラク軍空挺部隊再現(リエナクト・コスプレ)、バイクなどには問題なく使用できそうです。
入手はとても困難ですが、もしどこかで見つけたらコレクションしておいても面白いかもしれませんよ!
今回は、希少なイラク陸軍の空挺迷彩スモックを分析しました。
いやー軍装品って、本当に面白いですね!
それではまた、次回をお楽しみに!
(20231105更新)
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参考:他のイラク軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
今回のモデルが参考にしたイギリス軍空挺迷彩スモックに関する記事はこちらです。⬇︎
他のイギリス軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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