
今回は、1980年代のイギリス軍極地用迷彩スモックを分析します。
以前分析したイギリス陸軍極地用DPMスモック(SASスモック)と同じモデルですが、今回はPX品(モデル品)ですね。
同じ製造ラインで造られたように官給品にそっくりでした。
普段使いの中古品ですが、程度は極上ですよ!
目次
スポンサーリンク
スポンサーリンク
1 イギリス軍極地用迷彩スモック(DPM・PX品)とは?

世界の主要国の多くは、その国が開発したいわゆる官給品の装備が支給されています。
これは兵士の入隊前の環境や貧富に関わらず、「同じ装備」を与え、その差を無くすことにより連帯感を醸成するという効果があります。
ところが予算の関係から、兵士へ無限に官給品を支給するわけにはいかず、訓練や実戦では時として装備が不足してくることもありましたね。
また破損等により官給品を修理する場合も深刻でした。
それれについては各国軍とも考えていて、しっかりした軍隊では軍のPX(売店)などで、官給品と同等の装備を安く販売している場合が多いですね。
(勿論、より高く販売している組織もありますけど!)
今回のモデルは、イギリス軍のおそらくPXで販売されていた「極地用スモック」で、その仕様は全く官給品と同じなのが特徴です。
もしかしたら官給品と同じラインで製造された製品かもしれませんね。
さてさて、それはどんな「極地用スモック」なのでしょうか?
今回は、イギリス軍装備マニアのみならず、軽量で効果的な迷彩服をお探しのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
胸にジッパーのポケットがなく、ボタンが全て糸で縫い付けてあるタイプですね。
前見頃の階級章取り付けタブに注意!

背面
階級章取り付けタブは背面にもあります。

前面裏側
左胸の内ポケットに注意!

背面裏側

フード周りレイアウト
フード前縁にはワイヤー(太い銅線)は内蔵されています。

前合わせはジッパーとマジックテープ。

タグ
サイズ表記がインチ表示なので官給品ではないですね。

内ポケット
左胸のみで オープンタイプ。


ライニングは肩口と背面上部のみ。
下端はフリー。


背面裏側下部には2個の大きなポケットあり。
こちらも オープンタイプ。


ウエストのドローコードは前後にあって側面で結ぶタイプ。

前見頃の階級章取り付け用タブ
ボタンで開閉。

胸ポケット
角度が付いていて、ボタンで開閉
当時の一般兵科用スモックより大きなボタン。
ダークグリーンのプラスティック製。
ポケット口には折り返しあり。


腰ポケットも胸ポケットと同様ですが、こちらは垂直ですね。


袖
テーパー付きで脇には余裕あり。


肘の補強生地は腕一周分あります。

袖口はマジックテープで開閉・調整


左袖ポケット
腕に対して斜めに取り付けられています。


右袖ポケット
腕の後ろ側にあります。


フード
前縁にはワイヤー(やや太い銅線)が内蔵されていて、任意に形を整えることができます。

フード前部を閉じるためのドローコードに注意。

フード背面付け根のドローコード
グリーンではなくOD

背面の階級章取り付け用タブ
ボタンで開閉。
でも、取り外されている場合が多いですね。

フードドローコードのロック
官給品と同じものが使用されていますね。
…ということは?


ボタン大
ボタンはいずれも糸で縫い付けられています。
(後のモデルはカナディアンタイプに変更)

ボタン小

スポンサーリンク
スポンサーリンク
3 その特徴とは?
迷彩は、イギリス軍ではもう廃止してしまったDPM(Disruptive Pattern Material)で、とても美しいですね。
配色は、ホワイトの生地に、ダークイエロー、レッドブラウン、グリーン、ブラックを用いて、刷毛で小さく丸く塗ったようなパターンを描き、一部に細かい斑点による暈かしを加えています。
配色は、ホワイトの生地に、ダークイエロー、ブラウン、ブラック、グリーンを用いて、刷毛で小さく丸く塗ったようなパターンをプリントしています。
そして各色の一部には細かい斑点で暈かしを表現しています。
パターンではP68に近いですが、少々違っていて極地用スモック独特のものですね。
生地はとても細い糸で蜜に編まれたコットン・ギャバジン (ベンタイルとも言われています。)で、薄く未使用の状態では強烈な撥水性を有していました。
(洗濯により性能は低下!😭)
デザインは、フード(ワイヤー内蔵)付き、エポレットなし、胸ポケット×2、腰ポケット×2、内ポケット、両袖ポケット、背面裏側裾大ポケット×2で、官給品と全く同じです。
全体的な縫製はとても正確かつ丁寧で、イギリス軍らしい上質な仕立てです。
PX品の中には、フードのワイヤーがなく、SML表示の製品も存在しています
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1980年代
製造場所 イギリス
契約会社 イギリス
製造会社 〃
材 質 コットン
表記サイズ 38(S)
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約80cm
肩幅 約56cm
身幅 約65cm
袖丈 約59cm
状 態 中古極上品
官民区分 民生品
入手場所 名古屋の専門店
入手難易度 3(困難)
スポンサーリンク
スポンサーリンク
5 まとめ
いやーまるで官給品と見紛うモデル品ですね。
今回のモデルと官給品の違いは、タグと各部のドローコード色のみのようです。
やはり官給品と同じラインで製造されたのでしょうか?
この品質なら、イギリス軍リエナクトにも十分使用できそうですね。
またこのモデルの生地に使用されているコットン・ギャバジン (ベンタイル)は、適切な防水(撥水)処置を施せば、かなりの風雨にも耐えることができるので、サバイバルゲーム、狩猟、野鳥観測、登山にも使用できそうですよ。
(防風性能もなかなかですし!)
リエナクト以外でも、狩猟、登山にも使えそうですよ!
個人的にはとても優れたデザインだと思いますし、ファッションにも普通に使用できるのでは?…なんて考えています。

惜しむらくは、このコットンオンリーのモデルは、官給品及びモデル品でも少数派になりつつあり入手は困難なことですね。
でも、ポリエステル混紡の胸にジッパーポケットが追加された末期型は、現在でもデッドストックが入手可能ですよ。
使えるスモック(パーカー)なので、ミリタリーマニアでないあなたにもおすすめです。
この記事を参考にして、ぜひ入手してみてください!
今回は、イギリス軍の極地用スモックの精巧なモデル品を分析しました。
いやー軍装品って、モデル品も本当に素晴らしいですね!
それではまた、次回をお楽しみに!
(20240822更新)
スポンサーリンク
スポンサーリンク
参考:イギリス軍極地用迷彩スモック(モデル品も含む)に関する記事はこちらです。⬇︎
その他のイギリス軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍の迷彩服に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍の防寒装備に関する記事はこちらです。⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
スポンサーリンク
![]()
イギリス軍 コンバット スモック DPM USED JJ280UN 実物 軍モノ 軍物 男性 戦闘服 フィールド ジャケット アウター JKT カモフラージュ 迷彩柄
![]()
イギリス軍放出品 防寒手袋 ミトン DPM迷彩 MVP生地 滑り止め付き インナー手袋付き 英軍 防寒グローブ ウインターグローブ 耐寒手袋 耐寒グローブ ミリタリーサープラス ミリタリーグッズ
スポンサーリンク
