今回は、2000年代の陸上自衛隊迷彩作業外被を分析します。
諸外国ではフィールドジャケットに分類される衣料品ですね。
熊笹迷彩の戦闘服を使用していた時代の隊員には、待望の装備になります。
残念ポイントもありますが、程度は良好ですよ!
目次
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1 陸上自衛隊迷彩作業外被とは?
かつて迷彩服1型全盛期の作業外被は、OD単色しかありませんでした。
OD単色作業外被
でも、演習時には迷彩服しか着用できなかったことから、寒候期は隊員の悩みの種でしたね。
ちょっと肌寒い時は、迷彩服の下に着込むか、我慢するかしかありませんでした。
(健康問題に直結してましたよ!)
あろう事か、官給品防寒外被もODとホワイトのリバーシブルしかなく、無雪期や無雪地域では着用できませんでした。
つまり、演習のドレスコードと支給衣類に乖離があったのですね。
その状態を見かねた官給品被服製造メーカー等が、ご丁寧にOD作業外被を迷彩生地(熊笹迷彩)でそっくりコピーし、PXで販売したことがあります。
迷彩作業外被(PX品)
しかし、隊員の足元を見た価格設定であった(とても高価でした!)のと販売促進の失敗で全く売れず、結局そのまま時間は流れたのでした。
(これは、いまでも時々オークションで出品されてますよ!)
今回のモデルは、そんな迷彩の防寒装備の穴を埋めるべく開発された、官給品の迷彩外被になります。
さてさて、それはどんな迷彩服なのでしょうか?
今回は、自衛隊装備マニアのみならず、日本で最も効果的なフィールドジャケットをお探しのあなたと一緒に、確認していきましょう!
(因みに今回のモデルは、シェルが艶やかな初期型です。)
2 全体及び細部写真です!
前面
典型的な4ポケットのコートタイプです。
(アメリカ軍M51フィールドジャケットが原型です。)
背面
迷彩は暖候期用ですね。
前面裏側
袖の一部まで裏地(ビニロン?ナイロン?)が付いています。
珍しいデザインですね。
背面裏側
意外と裏側に迷彩が透けていますね。
前合わせはジッパーのみ。
胸ポケット
ダットファスナーで開閉
防寒外被とは違ってダットファスナーは隠されています。
腰スラッシュポケット
フラップはありますが、開閉を制御するものはありません。
ポケット口に補強あり。
内側はナイロン(?)生地
うなじのサイズタグ
(3Bは大きいサイズですね。)
内側にあるはずのデータタグとネームタグはキレイに剥がされていました。
(そんな!)
ジッパーは勿論「YKK」
脇の空気孔
金属製ハトメで片側3個
袖は何故かボタンです。
タックがたっくさん。😃
二段階に調整可能
ウエストのドローコード
ドローコードとしては、適正な位置なのですが、着用すると弾帯の上になる場合が多いですね。
裏地はありますが、完全防水ではありません。雨の侵入を遅らせるのが目的?
裏側の空気孔
襟の裏には何もありません。
オプションで専用のフードがあった気がします…。
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3 その特徴とは?
迷彩は2型迷彩の春夏バージョンで、ライトカーキをベースに、グリーン、ブラウン、ブラックに近いブルーで斑点を描いています。
(秋冬バージョンとはグリーンとブラウンの位置が入れ替わっていますね。)
生地は、おそらくコットンとビニロン混紡で、表面にやや艶があります。
一方ライニングはOD単色ですね。
デザインは、エポレット付き、胸ポケット×2、腰ポケット×2で内ポケットはありません。
珍しいのはライニングで袖が半袖、しかも上半身のみになっているところです。
ところで、この迷彩作業外被は、その前のモデルであるOD単色作業外被が原型です。
元を正せばアメリカ軍のM51を参考にしてデザインし、かなりの省略と材質の変更を行った、言わば「簡易版M51フィールドジャケット」なんですね。
今回のモデルも、その簡易版をしっかり継承していますよ。
特筆すべきは腰ポケットで、フラップ付きスラッシュポケットながらフラップを締めておくべきボタンやダットファスナーがありません。
簡易的で使い勝手が良いですね。
でも、そうするなら内ポケットも欲しいような気がします。
OD作業外被に存在した、襟から展開するフードは、今回のモデルでは省略されていました。
(滅多に使用しないのでなくても良いのかも。)
全体的な縫製は、正確かつ丁寧で強度も十分です。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 2000年代
製造場所 日本
契約会社 日本
製造会社 〃
材 質 コットン
ビニロン
表記サイズ 3B
各部のサイズ(平置)
着丈 約82cm
肩幅 約49cm
身幅 約65cm
袖丈 約58cm
状 態 中古良品
官民区分 官給品
入手方法 ヤフオク
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
迷彩は暖候期用ですが、これで秋や春の無雪地帯でもある程度の防寒性能を有した装備を入手することができました。
良かったですね。
(現在の隊員さんが羨ましいです。)
若干の防水性能もありますので、少々の悪天でも対応できて便利ですね。
アメリカ軍M51フィールドジャケットの簡易版ですが、例えばM51を日本の屋外で使用するというのは、ライナーを外していたとしても少々オーバースペックのような気がします。
日本には今回のモデルくらいの省略版くらいがちょうど良い装備かもしれませんね。
勿論迷彩の効果は定評がありますので、あらゆるシーンに使用可能でしょう。
サバイバルゲーム、狩猟、野鳥観測、キャンプ、登山などに使えそうですね。
シティユースでも、なかなかオシャレですよ。
ところで最新の迷彩作業外被は、迷彩パターンは同じですがシェルの材質が変わりツヤがなくなって、より防水性能と対赤外線性能の高い物に変更されています。
(欲しいです!)
…ということは、今回のモデルは今後減ってゆくのかもしれませんね。
見かけたら、積極的に保護してあげましょう!
今回は、陸上自衛隊でやっと開発された迷彩作業外被を分析しました。
いやー自衛隊装備品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20240116更新)
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参考:陸上自衛隊迷彩服2型防寒外被(防寒戦闘服外衣)の記事はこちらです。⬇︎
その他の陸上自衛隊迷彩服2型の装備関連記事はこちらです。⬇︎
かつてのリバーシブル防寒外被はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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