今回は、1970年代のカナダ陸軍空挺迷彩スモックを分析します。
主要なボタンが特殊なダットファスナーに変更された後期型になりますね。
やはり、あの空挺スモックが原型のようですよ。
今回は、かなりの使用感と残念ポイントがあります。
予めご了承ください。
目次
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1 カナダ陸軍空挺迷彩スモック(DPM・後期型・褪色あり)とは?
かつてはイギリスの連邦国であったカナダ軍。
現在こそアメリカナイズされた装備を採用していますが、かつては堂々と(?)イギリス系装備を使用していましたね。
カナダ陸軍空挺部隊も同様で、戦後しばらくの間はイギリス軍空挺デニソンスモックを参考にした、迷彩スモックを採用していました。
(大戦終了後間もなくは、イギリスのデニソンスモック官給品を使用していたという情報もありますね。)
でも、イギリス陸軍がDPMを採用すると、カナダ軍も1970年代には迷彩にDPMを採用。
同時に、カナダ軍独特の改良を施して支給しました。
今回のモデルは、カナダ軍空挺DPMスモックとしては2番目のモデルになります。
この頃から、カナダ軍の戦闘服には面白い特徴が付加されましたよ。
その特徴は、空挺迷彩スモックにもしっかり採用されていました。
さてさて、それはどんな空挺迷彩スモックなのでしょうか?
今回は、カナダ軍マニアのみならず、世界の空挺装備コレクターのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
迷彩生地がかなり褪色しています。
背面
前面裏側
背面裏側
前合わせはジッパーのみです。
タグ
1977年度契約品です。
襟はジッパーで立てることができます。
エポレットはテーパーなしのクサビ型。
胸ポケット
とても小さいです。
まるでマガジン(弾倉)が1本しか入らなような容量です。
角度が付いていて、特殊なダットファスナーで開閉。
腰ポケット
こちらも大きくはないですね。
ダットファスナーで開閉。
ポケット口にはゴムを内蔵。
裾のサイズ調整タブ
こちらもダットファスナーです。
袖
テーパーが付いています。
肘の補強生地は楕円形
袖口はマチ付きで通常のダットファスナーで開閉
背面下部には大きなポケットがあります。
ジッパーで開閉
何故かジッパーはプルタブが2枚あるタイプ。
ポケットなので、中は閉じられているのですが…。
テイルピース
イギリス軍の空挺迷彩スモックやデニソンスモックより幅が狭いですね。
これ、使いやすいかも。
こんな風に前面裏側に ダットファスナーで留めます。
日本の褌みたいですね。
内ポケット
五角形でマジックテープで開閉
オリジナルより進歩している?
今回のモデルは、下端のテイルピース用ダットファスナー受け側が欠損していました。
(◯の箇所です。)
ウエストのドローコード。
開口部には金属製のハトメあり。
本来襟の下には、フードがあるはずなのですが…。
今回のモデルは丁寧に切り取られていました。😞
背面上部のライニングは縫い付けられていますね。
特殊なダットファスナー
とても破損しやすいですね。
メインジッパー
上下から開くダブルジッパーです。
刻印は「LIGHTNING」
エポレットのボタン
かなり以前からカナディアンタイプを採用していたようですね。
着用例
上下迷彩ではないのですね。
一時期イギリス軍もそうでしたが、昔の考え方なのでしょうか?
(J.F.Borsarello著「CAMOUFLAGE UNIFORMS of European and NATO Armies 1945 to the Present」より引用)
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3 その特徴とは?
迷彩はイギリス軍が採用したDPMに似ています。
配色は、ホワイトの生地に、ダークイエイロー、レッドブラウン、ダークグリーン、ブラックでを用いて、刷毛で小さく丸く塗りたくったようなパターンをプリントしています。
今回のモデルは、中古品でかなり使用された(洗濯された)ものなので、著しく褪色していますね。
でも本来はオランダ軍のDPMのようにやや鮮やかな色調ですよ。
また、イギリス軍DPMのパターンにある細かい斑点によるボカシは、カナダ軍のDPMも省略していますね。
生地はコットンとポリエステルの混紡で、ギャバジンに近い織り方です。
軽量で肌触りが良いですよ。
デザインは概ねデニソンスモックやイギリス軍空挺スモックを踏襲していますが、胸ポケットが小さいタイプで、ポケットフラップには素早く開閉できるようタブが付いています。
構成は、エポレット付き、胸ポケット×2、腰ポケット×2、背面裾大ポケット、内ポケット×2で、伝統の(?)テイルピースが装備されていますね。
面白いのは胸ポケットで、小銃のマガジンが1本入るような小さいものになっています。
このモデルの時期から、一般兵科の装備も含めて胸ポケットがマガジンパウチを兼務しているようです。
全体的な縫製は、丁寧で正確ですが、強度はやや足りないですね。
(よく解れているモデルを見かけます。)
また特殊なダットファスナーですが、これが意外に破損しやすく、すぐ外れたりしますね。
(今回のモデルも1個外れています。)
ここは予備のパーツなどが入手困難なため、取扱注意ですね。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1977年
製造場所 カナダ
契約会社 カナダ
製造会社 〃
材 質 コットン
ポリエステル
表記サイズ 2
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約77cm
肩幅 約46cm
身幅 約65cm
袖丈 約62cm
状 態 中古並品
官民区分 官給品
入手場所 愛知の専門店
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
今回の一つ前のモデルでは、特殊な ダットファスナーではなくて、ボタン仕様でした。
とても使いやすく、かつ塗装も剥げなかったので良かったのでは?
(普通に出回っているダットファスナーにするという手もありましたね。)
なぜ今回のモデルのように特殊なダットファスナーに変更されたのかわかりませんが、私は改悪だと思っています。
(修理が容易だったのでしょうか?でもカナダ以外では修理しようにも、金属部品が入手できないので難しいですね。)
一部、このような問題点はありますが、一着の迷彩服としてみた場合とても魅力的なスモックですね。
迷彩は定評のあるDPMですし、化繊混じりの生地は速乾性があります。
今回のモデルではは記されていましたが、本来フード装備というのも、一般的に使用する場合は何かと使い勝手が良いですね。
なかなか使えるスモックと言えるのではないでしょうか?
しかし、このスモックも減ってきていますね。
(初期型は、全く市中から消えてしまいました。)
それでも国内外のオークションでは、時々出品されたりしていますよ。
またあまり知識のない…むしろ古着屋に近いSHOPでは、イギリス軍のDPMと称して販売されている場合があります。
念のため探してみましょう。
私は、初期型のデッドストックを探してみたいと思います。
今回は、カナダ陸軍の空挺迷彩スモックを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20240317更新)
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参考:殆ど褪色のない空挺迷彩スモックに関する記事はこちらです。⬇︎
他のカナダ軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
原型となったイギリス軍各種空挺スモックに関する記事はこちらです。⬇︎
他国軍の迷彩服に関する記事はこちらです。⬇︎
他国軍の空挺装備に関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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