今回は、第二次大戦中にイギリス軍が支給したデニソンスモックのモデル品を分析します。
忠実なモデル品を製造することで有名なメーカーなので期待していました。
これまで分析してきたデニソンスモックと袖のデザインが違いますが、こんなタイプもありましたよ。
ところで、あなたはこのモデル品をどう評価しますか?
私は…
目次
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1 イギリス陸軍空挺迷彩スモック(デニソンスモック・K&G社製)とは?
第二次大戦中にイギリス軍が開発し、空挺部隊や一部の狙撃兵に支給したデニソンスモック。
その後の戦闘服にも大きな影響を与えた、画期的な迷彩服でした。
でもそのモデル品は、当初全く製造されることがありませんでしたね。
おそらく1970年代くらいまでは当時の官給品が、それも多数残っていたのでしょう。
当時のヒストリカルゲームの写真をみると、おそらくデッドストックと思われるスモックを着て、満面の笑みを浮かべているマニアが大勢いますね。
(羨ましい!)
しかし1980年代くらいから、アメリカでペイント弾を使用するサバイバルゲームが始まると、あっという間に数が減っていきましたね。
ちょうどその頃から、アメリカを主体にデニソンスモックのモデル品が製造されるようになってきました。
(貴重な迷彩服の存在に気付いたようです。保護を始めたんですね。)
今回のモデルは、その後の1990年代にアメリカで製造された高級モデル品になります。
大そうな名前のメーカーですが、何故かイギリス軍装備を主に製造している、品質に定評のあるメーカーですね。
さてさて、そんな有名メーカーが製造したデニソンスモックは、どんな感じに仕上がったのでしょうか?
今回はイギリス軍マニアのみならず、迷彩服コレクション初心者のあなたと一緒に、確認していきましょう!
(知識を増やして、識別眼を養いましょう!)
2 全体及び細部写真です!
前面
生地は…パターン&色調とも疑問が残りますね。
背面
前面裏側
背面裏側
前合わせはジッパーのみです。
プルオーバーなので、ジッパーは途中までしかありません。
メーカータグ
襟のウールも再現されていますが、なんと現用イギリス軍のウールシャツ生地(グリーン)が使用されていますよ!
襟はジッパーを頂部まで上げることにより、襟を立つことができます。
エポレット
テーパー付きのラウンドタイプですが、少々短い?
胸ポケット
角度が付いていて、ダットファスナーで開閉。
腰ポケット
こちらも胸ポケットと同様です。
裾の調整タブは、使用しない場合用のダットファスナーもありますね。
(官給品にはこのダットファスナーはありません。)
テイルピース用ダットファスナー
当時ものより径小さいタイプ。
脇の通気孔
数はあっていますが、形状はなんとボタンホールタイプ!
(官給品は円形)
袖
タブとボタンで調整するタイプを再現
当時はニットを追加している例もありました。
内ポケットもちゃんと再現
ジッパーの刻印はなし。
エポレットのボタン
イギリス軍官給品ボタンをよく再現しています。
テイルピース
使用しない場合のダットファスナーあり。
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3 その特徴とは?
迷彩は、カーキ濃いカーキの生地に、レッドブラウンとグリーンを用いて刷毛で塗ったようなパターンを描いています。
でも、迷彩の色調やパターンは、大戦中のモデルと大きく違うように見えるのですが…。
(それとも、こんな色調やパターンのモデルがあったのでしょうか?)
大真面目にこの生地を作ったのだとしたら、なんか大きな勘違いしていたのかもしれませんね。
(キング&カントリーって…?😅)
迷彩生地色調及びパターン比較
今回のモデル
ベースとなる生地色をもっと明るいカーキにして、グリーンの色調をオリーブグリーンにしたら、さらに雰囲気は良くなったかもしれませんね。
生地は当時の官給品をよく再現しています。
やや厚いデニム生地で、固さや肌触りも良く似ていますよ。
(折角生地が良くできているのに…残念ですね。)
デザインは、当時の官給品をよく再現していますが、襟のウールは現用イギリス軍のウールシャツの生地(オリーブグリーン)ですね。
裾にはサイズ調整タブ固定用のダットファスナーが追加されていますよ。
使い勝手を追求したのでしょうか?
袖は、ボタンとタブで調整するタイプで、当時はニット型とこの型の2種類が製造されていました。
(ただし、兵士は靴下やニットを縫い付ける改造があったようです。)
細かいことですが、各部のダットファスナーも現行の小さいタイプで、細部にもこだわりが感じられませんね。
ちょっと(かなり?)残念なモデル品と言えます。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1990年代
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 コットン
ウール
表記サイズ M
(日本人のL〜XL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約78cm
肩幅 約56cm
身幅 約68cm
袖丈 約52cm
状 態 中古極上品
官民区分 官給品
入手場所 ヤフオク
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
今回のモデル品を分析して、得た教訓…と言うか格言というか…があります。
それは
「デニソンスモックモデル品に傑作なし!」
です。
(手厳しい!でもホント!)
高級モデル品でこの程度の出来なら、当時の官給品を知っているマニアはがっかりですね。
それとも「サバイバルゲーム用」ということで、らしく…そして軽い気持ちで作ったのでしょうか?
(…だとしたらデニソンスモックに対する冒涜です!)
それはともかく1着の迷彩服とするなら、全体的に暗く大まかな迷彩ながら、ややメリハリもあるので日本のフィールドでも十分使えそうですね。
生地の厚さや襟のウールから、冬用衣類になりますが、中に防寒着を着込めば、真冬でも大丈夫そうです。
ポケットも多く、ジャケットとしての使い勝手は良好ですよ。
サバイバルゲーム、狩猟、野鳥観測、釣りなど使い道はたくさんありそうですね。
(テイルピースを利用してバイクも面白いかもしれませんね。)
幸いなことに…というか残念なことに、現時点ではこのモデル品も品薄で、入手は困難です。
また、敢えて購入するほどのものでもなさそうですね。
もし探している方がいらしたら、今回のモデルも後日ネットオークションに出品する予定です。
もうしばらくお待ちください。
今回は、アメリカ製の高級品ながら、出来の悪いデニソンスモックのモデル品を分析しました。
いやー残念なモデル品でした!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20240112更新)
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参考:他のモデル品デニソンスモックに関する記事はこちらです。⬇︎
官給品デニソンスモック(大戦中の迷彩生地モデル)はこちらです。⬇︎
戦後の新しい迷彩生地で製造されたデニソンスモックはこちらです。⬇︎
www.military-spec-an.com ✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
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