今回は、1980年代のスペイン陸軍山岳兵用迷彩ジャケットを分析します。
とても有名かつ希少なモデルで、一部のマニアにとても人気がありますね。
原型は、あの迷彩だと思われます。
なんとデッドストックですよ!
目次
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1 スペイン陸軍山岳兵用迷彩ジャケットとは?
かつての大航海時代に、南米インカの富を喰らい尽くし、栄華を極めたスペイン。
現在ではヨーロッパでも貧乏な国になっていますね。
まさに盛者必衰そのものです。
スペイン内乱では、ドイツの支援を受けた独裁者フランコ将軍が勝利したことから、当初の軍装備品は殆どドイツ系でした。
中でも戦闘機や爆撃機は、1960年代まで旧ドイツ軍のレシプロ機(ガソリンエンジンのプロペラ機)を使用していましたね。
(世界はジェット戦闘機、ジェット爆撃機の時代にですよ!)
そこに目をつけたイギリスが、「空軍大戦略(英名「バトル・オブ・ブリテン」)という映画を撮影するため、スペイン軍の古い航空機を全部買い取りました。
そのお金で、やっと近代的なジェット戦闘機を購入できた…というのは有名な話ですね。
個人装備もドイツ系でした。
でも大戦後は、ドイツを基本としながらも周辺の国やアメリカを参考に装備を整えてきましたよ。
今回のモデルは、そんな1960年代から1980年代まで使用された迷彩服で、一般兵科用とは違った山岳兵用になります。
どことなく、ドイツの影が見え隠れしているような迷彩パターンが特徴です。
さてさて、それはどんな迷彩服なのでしょうか?
今回は、スペイン軍装備マニアのみならず、世界の山岳兵装備マニアのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
複雑な迷彩ですね。
海外では「ジグソーパターン」と呼ばれていますね。
背面
前面裏側
ライナー用のボタンはありません。
背面裏側
迷彩は全く透けていませんね。
前合わせはボタンのみです。
襟は開襟で、チンストラップやフード用のボタンなどはありません。
脇の裁断が変わっていますね。
左胸ポケット
マジックテープで開閉
めちゃくちゃ強力です。
現時点では片手で開けられません。
右胸ポケット
マジックテープで開閉ですが、ポケット側のマジックテープの中央にはボタンが。
袖はボタンで開閉しますが、大きく開いています。
袖口には、4本のタックが入っています。
各部に使用されているボタン
半光沢でブラウンのプラスティック製
脇のデザイン
裾のスキャット…ではなくてスリット
エポレット
テーパー無しのクサビタイプです。
今回のモデルには、最初から刺繍がありました。
階級章でしょうか?
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3 その特徴とは?
迷彩ですが、ベージュの生地に、その一部を塗り残すようにライトブラウンでベースをプリントし、その上からディープグリーン、グリーン、レッドブラウンで、浅瀬に漂う海藻のような(表現力の無さ!)パターンを沢山描いています。
そして、各色は重なり合って別の色となり、とても複雑な迷彩パターンを構成していますよ。
(意図的にそうしたでしょうか?)
部分的に旧ドイツ軍が採用したライバーマスターに近いパターンも存在しています。
ドイツとの繋がりを考えると、偶然とは思えません。
ライバーマスターの影響を受けているのではないでしょうか?(私見)
今回のモデルは、山岳兵用なので全体的に茶色味が強い色調ですね。
迷彩比較
今回のモデル
一般兵科用迷彩ジャケット
一般兵科用は、全体的に緑味が強いですね。
迷彩パターンは殆ど同じのようです。
生地は、一般的なコットンツイルでやや厚め。
今回のモデルは、デッドストックなのでゴワゴワしていますね。
デザインは、エポレット付き2ポケットのシャツタイプですが、襟は開襟です。
また、袖口は通常の状態で大きく開いていますよ。
腕まくりし易いようにとの配慮でしょうか?
全体的な縫製は雑で強度も足りないようです。
そうそう、今回は山岳兵用でしたが、同じパターンで色調の違う砂漠用迷彩のモデルもありますよ。
4 製造とサイズのデータ
製造・契約年度 1980年代
製造場所 スペイン
契約会社 スペイン
製造会社 〃
材 質 コットン
表記サイズ 表記無し
各部のサイズ(平置)
着丈 約80cm
肩幅 約52cm
身幅 約62cm
袖丈 約63cm
状 態 デッドストック
官民区分 官給品
入手場所 ヤフオク
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
複雑ですが、全体的に明るい迷彩ですね。
森林の多い日本のフィールドでは逆に目立つかもしれません。
(おそらく停止間でも。)
そこを逆手にとって、シティカモフラージュとして人工物で作ったサバイバルゲームフィールドで使用してみるのはどうでしょう?
細かい迷彩なので、野鳥観測にも使えそう…な気がします。
問題は入手方法です。
マニアに人気の迷彩服なので、数がとても少ないですね。
日本では1980年代のミリタリー雑誌で、この迷彩パターンの一般兵科用戦闘服が取り上げられました。
スペイン軍が採用しているセトメの軽機関銃(ドイツMG42の5.56mm版)の特集記事で、銃を操作している兵士が着用していましたね。
以来、入荷しては即売の状態が続いているようです。
これはオークションでも同じですね。
じつは、スペイン軍は1980年代から新しい迷彩服を採用していて、今回のモデルは廃止されたようです。
今後さらに数が減って行く見込みです。
見つけたら全力で保護してあげましょう!
今回は、スペイン陸軍山岳兵用迷彩ジャケットを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20240218更新)
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参考:他のスペイン軍装備に関する記事はこちらです!
旧ドイツ軍武装親衛隊ライバーマスター迷彩の影響を受けたと思われる迷彩服はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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