今回は、1990年代のオランダ軍戦車兵用カバーオールを分析します。
第二次大戦中にイギリス軍が装備した戦車兵用カバーオールが原型のようです。
凝りに凝った驚きのデザイン驚きました。
このアイテムもデッドストックですよ!
目次
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1 オランダ陸軍戦車兵用カバーオール(タンカーススーツ)とは?
パイロットなどの空中勤務員と同様、戦車などのAFV(装甲戦闘車両)乗組員の装備も独特ですね。
以前、おそらく対戦車ロケット弾の直撃を受けたと思われる、シリア軍のT–72が燃え上がる動画を観たことがあります。
一瞬で車内は火災となり砲口ややハッチ(乗員の出入口)から炎が吹き出していましたね。
戦車の中には砲弾や機銃弾、そして燃料もあるので火災になったら大変です。
戦闘機なら、射出座席で脱出できますが、戦車兵はそうはいきませんね。
ある意味パイロットより特殊な装備が必要かもしれませんね。
今回のモデルは、そんな戦車兵のためにオランダが開発した専用のカバーオール(つなぎ)になります。
元のデザインは、先にも記したとおり、イギリス軍のものですが、そっくりそのままコピーされた訳ではなさそうですよ。
第二次大戦中のイギリス軍戦車兵
(現代のマニアによるコスプレ。当時ものでしょうか?メチャ程度が良いですね!)
https://i.pinimg.com/originals/12/04/30/1204306b28dd864d8f056f9f51209c9f.jpg
さてさて、それはどんなカバーオールなのでしょうか?
今回は、戦車兵装備マニアのみならず、実用的な作業着を探しているあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
全体前面
ウエストにはゴムが内蔵されていて、見た目がスッキリしていますね。
前面上半身
上半身や袖のポケットは左右非対称です。
前面下半身
全体背面
背面にはいつものスリットが。
背面上半身
両肩のレスキューハンドルが特徴的ですね。
でも、車内の機器に引っ掛からないのでしょうか?
背面下半身
全体前面裏側
白っぽいテープは、レスキューハンドルにつながるハーネスです。
立体機動装置みたいですね。
右胸の黒っぽい生地は、ホルスター(拳銃嚢)も兼ねています。
前身頃のボタンはライナー用(ライナーなし)
腰ポケット生地のジッパーに注意
全体背面裏側
ハーネスは膝までカバーしています。
タグ
肩のレスキューハンドルはしっかり縫われていますね。
その下にはネームタグ用マジックテープと右胸ポケット。
右ポケットはダットファスナーで開閉
右腰スラッシュポケット
ジッパーで開閉
股間のいわゆる「社会の窓」
膝ポケット
水平のジッパーで開閉
ふくらはぎポケット
こちらも水平ジッパーで開閉
裾にはゴムを内蔵
見えていませんが、足首にもジッパーがあります。
左ふくらはぎポケットには、小さなパッチポケットが。
ダットファスナーで開閉
ポケットフラップに余裕があるので、ファーストエイドドレッシング(救急包帯)入れか?
左胸ポケット
こちらは垂直のジッパーで開閉
左袖
肘の楕円形の補強生地とちいさなパッチポケット
袖口にはジッパーがあってゴムを内蔵しています。
ジッパーは前身頃から足裾まで左右に2本あります。
これは、イギリス系戦車兵用カバーオール共通のデザインですね。
最上端はマジックテープで開閉
こんなふうに袖を除き、大きく開くことができます。
これなら火が着いても、迅速に脱ぎ捨てることができますね。
腰プラッシュポケット内の生地には、もう一つジッパー付きのスリットがあります。
これで中に着ている衣類のポケットを使用することができますね。
裏側の前面ジッパーの状況
ジッパーはいずれもプラスティックです。
左胸ポケット内のホルスター
旧ソ連陸軍戦車兵用迷彩ユニフォームみたいですね。
うなじ内側にはマジックテープで開閉するスリットが。
中にはフードが内蔵されていました。
シェルと同じ生地のしっかりとしたフードです。
背中のスリットの中には、当然…
膝から続くハーネスの一部がハンドルになってました。
両肩のハンドルに加えての装備です。
脇の通気孔
2個の金属製ハトメ。
ダットファスナー表面の、反射防止加工
ジッパースライダーは、メインを除き無刻印の黒染め
メインジッパースライダーはダークアースで刻印は「riri」
ボタンは、ドイツ軍タイプです。
…ということは、ジッパーといい、ボタンといいい、もしかしてドイツ製でしょうか?
(ベルギー製かも?)
ちいさな紙タグもありました。
粗末な布タグには、NATOサイズが表記されていました。
下の手書き「3」も上記の小さな紙タグと符合
オランダ国籍マーク
たまにフランスだと思い込んでる業者がいますが、そんなところからは購入しないようにしましょう!
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3 その特徴とは?
生地は明るいODの難燃繊維ツイルで、肌触りがとても良いです。
寒候期用でしっかり織られていますよ。
デザインは、左右非対称で、細かく見るとポケットなどが違っている部分があります。
特筆すべきは、前身頃の2本のジッパーで、脚の裾まで続いていますね。
これを開放することにより、カバーオールを迅速に脱ぐことができますよ。
また、左内ポケットはホルスター(拳銃嚢)と兼務になっています。
昨今の戦車兵装備に共通する、カバーオール内側のハーネスが準備されていますが、これとは別に両肩にも救助用のハンドルがあります。
これはオランダ軍独特ですね。
難燃繊維でできてはいますが、ジッパーの歯は全てプラスティックでした。
でもこの重厚なデザインは、なかなかカッコいいですね。
全体的な縫製は、正確かつ丁寧で、強度も十分です。
高い技術で製造されていますよ!
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1990年
製造場所 不明
契約会社 オランダ
製造会社 不明
材 質 コットン
ナイロン
表記サイズ 6080/9000
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約153cm
肩幅 約49cm
身幅 約57cm
袖丈 約61cm
ウエスト 約43cm
股下 約73cm
裾幅 約15cm
状 態 デッドストック
官民区分 官給品
入手場所 ヤフオク
入手難易度 1(容易)
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5 まとめ
これまで、このブログでも何点か戦車兵の装備を分析してきましたが、ここまで凝った戦車兵用オーバーオールは、見たことがありませんね。
(本家イギリス軍より凝っていますよ。)
カバーオールの装備もさることながら、製造のコストも時間もかかりそうですね。
これはとりも直さず、数少ない戦車兵に対するオランダの回答なのでしょう。
オランダの戦車兵は、国に愛されていますね。
しかし、だからと言ってこのカバーオールが、本当に使える装備なのかは別の問題のようですね。
(全体的に少々オーバースペックのような気がします。)
とは言え、日本で入手できる我々には別の使い道があるようです。
普段の野鳥観測やキャンプに使用してみては如何でしょうか?
生地がやや厚く寒候期ようなので、着て走り廻るサバイバルゲームや狩猟には向いていないかもしれませんが、じっくり待ったり、火気のある場所での使用には問題なさそうですね。
幸いに、現在日本にもデッドストックが多数が輸入されていますので、入手は容易のようです。
(もしかしたら本国では用途廃止になったかもしれませんね。)
購入するのは「今」かもしれませんね。
今回は、オランダ軍の比較的新しい戦車兵用のカバーオールを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20231010更新)
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参考:他国の戦車兵装備に関する記事はこちらです。⬇︎
他のオランダ軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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