今回は、1940年代のアメリカ陸軍HBTジャケットを分析します。
第二次大戦中のHBTユニフォームと、戦後のOG-107ユーティリティーユニフォームを繋ぐ「ミッシング・リンク」的装備ですね。
使用期間が短く、あまり知られていないアイテムです。
中古品ですが程度は極上ですよ!
目次
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1 アメリカ陸軍HBTジャケット(戦後モデル)とは?
第二次大戦中に数種類のHBTジャケットを並行運用したアメリカ軍。
製造の誤差も相まって、多種多様なHBTジャケットが存在していました。
第二次大戦中のアメリカ陸軍HBTジャケット①
第二次大戦中のアメリカ陸軍HBTジャケット②
調達・補給そして部隊運用を考えると、やはり規格を統一するべきなのは世の常識。
アメリカ軍もそこはしっかり考えていて、第二次大戦終了後、早速規格の統一に踏み切ります。
そして1949年(諸説あり)には、大戦中のHBTユニフォームのデザインを一部変更したモデルを採用しました。
それが今回のモデルです。
途中、朝鮮戦争の勃発により支給は遅れ、かつ後継モデルがすぐに開発されたことから短命に終わってしまいました。
開発された時代を反映しているのでしょうか?
少々古めかしい部分もありますが、全体的なデザインは後のOG-107ユニフォームに通じるものがありますね。
さてさて、それはどんなHBTジャケットなのでしょうか?
今回は、アメリカ軍装備マニアのみならず、軍物ファッションをこよなく愛するあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
金属製ボタンが目立ちますね。
背面
前面裏側
ボタンはリベット留めされています。
ジーンズのボタンに似ていますね。
背面裏側
襟周りレイアウト
前合わせはボタンのみ
データスタンプ
とても薄いですが最上段にサイズ「SMALL」とあります。
カラーは「O.D.7」ですね。
最下段には「MIL SPEC」がありますよ。
胸ポケット
ポケットフラップやポケット本体のデザインが、後のOG-107ユーティリティージャケットに似ていますね。
袖
ほぼストレートです。
単純な筒ですね。
金属製の5スターボタン
スチール製なので普通に錆びます。
よく見るとポケットのサイズやデザインも、後のOG-107ユーティリティージャケットによく似ていますね。
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3 その特徴とは?
生地は、OD(オリーブドラブ)のコットンHBT(ヘリンボーンツイル:杉綾織)で、薄く軽量ながらとても丈夫です。
(高級な生地でもあります。よくジッパーの生地に使用されていますね。)
大戦中のHBTジャケットからの改良点(相違点)は
- より修理しやすいドーナツボタン(金属製リベット留め)に変更
- 袖のボタン及びガスフラップを省略
- 胸ポケットを小型に変更
というものでした。
まだ生地の色調は大戦中のODのままで、後のOG-107とは大きく違っています。
戦後のOG-107ジャケット(同じくらいの中古品)との色調差
左:戦後OG-107
右:今回のモデル(OD-7)
デザインは、後のOG-107ユーティリティージャケットに通じるシンプルなものですね。
構成は、エポレットなし、胸ポケット×2のみです。
デザイン比較
後のOG-107ユーティリティージャケット
今回のモデル
離れた位置にある第2ボタン、ボタンの数、ポケットフラップやポケットのデザイン、袖は、後のOG-107ユーティリティージャケットにも継承されていますね。
ただし今回のモデルは、ボタンが全てリベット留めされています。
これは頑丈な反面、壊れると前線では修理困難であるという問題もありました。
そのため、後のモデルでは通常のボタンに変更されていますね。
全体的な縫製は、当時のアメリカ軍スタンダードとも言える「やや雑ですが強度は抜群」な仕立てです。
面白いのはサイズで、大戦中のHBT同様、洗い縮みを考慮してワンサイズ大きく設計してあるところですね。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1949年
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 コットン
表記サイズ S
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約72cm
肩幅 約48cm
身幅 約56cm
袖丈 約59cm
状 態 中古極上品
官民区分 官給品
入手場所 名古屋の専門店
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
今回のモデルが採用された後に朝鮮戦争が始まりましたが、当時前線で使用されたのは大戦中のHBTユニフォームでしたね。
(一説には、今回のモデルも使用されたとか?でも、おそらく少数だったのでしょう。🤔)
採用されて僅かな期間であったため、量産が間に合わなかったとか、寒冷地用装備の生産・支給を優先させたということもあったかも知れませんね。
その後すぐに(1950年代末)には、次のOG-107ユニフォームが採用されたので、今回のモデルはその大半が使用されることなく、お蔵入りになっていたようです。
その証拠に、1980年代には日本にもデッドストックが多く輸入されましたね。
この状況から、どうやら在庫していたその全てが払い下げられたのでは?
私が今回のモデルを購入したのは、1990年代の初めでしたが、まだ多数が売れ残っていましたね。
大戦中のHBTユニフォームは、現在でも人気で価格も年々上昇していますが、この中途半端な時期に製造され、大きな活躍もなかったせいか、人気は今ひとつだったようです。
ところが2021年現在、さすがに全く見かけなくなりました!
驚くことに店舗は勿論のこと、ネットでも…。
売れてしまったのか、はたまた売れないので仕舞い込んでしまったのか…。
(もしかしたら名古屋のお店にはまだあるかも?)
原因は不明ですが、貴重なジャケットなのでコアなアメリカ軍マニアにはぜひ入手してもらいたいですね。
また、ワンサイズ大きく作られているのを利用して、寒候期のアウターとして使用してみるのも面白いかもしれません。
入手は、専門店以外にも古着屋なども当たってみましょう!
運よく見つかれば、ラッキーですよ!
私は、同じモデルのトラウザーズを探してみたいとお思います!
今回は、第二次大戦とベトナム戦争の装備を繋ぐ、アメリカ陸軍M47HBTジャケットを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それではまた、次回をお楽しみに!
(20230908更新)
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参考:他のアメリカ陸軍ユーティリティージャケットに関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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