今回は、1960年代のベルギー軍空挺迷彩スモックを分析します。
伝統的な迷彩パターンが魅力ですね。
デザインは、有名なイギリスの空挺スモックを原型としています。
今回は中古品ですが、程度は良いですよ!
目次
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1 ベルギー陸軍空挺迷彩スモック(1969年・ジグソーパターン)とは?
古今東西どこの国の軍隊も、空挺部隊は一般兵科と違った装備があって面白いです。
多くは航空機から投下され、少ない装備で敵地に乗り込む空挺隊員は、その用途に合致した特殊な装備が必要なのでしょうね。
また空挺隊に所属することは、エリートの証であり、装備の差別化等で兵士の士気を上げてるのかもしれません。
さて、そんな空挺装備ですが、その被服に共通しているのは、
- 防風対策
- 防寒対策
- パラシュートライン(紐)の引っ掛かり対策
が施されていることです。
今回のモデルは、実はイギリス陸軍が第二次大戦中に採用した通称「デニソン・スモック」を模範に作られている、由緒正しい(?)空挺スモックです。
迷彩パターン以外は、フルコピーと言っても過言ではないくらいですね。
第二次大戦中のイギリス軍デニソンスモックの記事はこちらです。⬇︎
しかしベルギー軍でわからないのは、1950〜1960年代に違う迷彩生地やデザインの空挺スモックが複数種同時に存在(混在?)していることです。
使用する地域や部隊によって違ったのでしょうか?
違うバージョンのベルギー軍空挺迷彩スモック記事はこちらです。⬇︎
最初期の頃は、迷彩生地すらデニソンスモックのコピーだったのですが、次第にベルギー独特の改良がなされていきましたよ。
中にはとてもエレガントなデザインのモデルもありましたね。
試行錯誤していたのでしょうか?
バリーションがありすぎます。
(最初期型、探しています!)
しかし今回のモデルでは、また元のデニソン系デザインに戻っていますよ!
(不思議ですね。)
さてさて、それはどんな空挺スモックなのでしょうか?
今回はベルギー軍装備マニアのみならず、世界の空挺装備マニアのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
ポケットの角度や各部のダットファスナーに注意。
テールピースは裾からやや出ています。
ポケット下端がラウンド型なのにも注意
(末端がスクエア型も存在します。)
背面
デニソンスモック同様のAラインですね。
前面裏側
大戦中英軍のデニム・バトル・ブラウスより濃いグリーンですね。
胸の内ポケットに注意。
裏地に表面からのプリント染みはありません。
背面裏側
胸元のファスナー
ファスナーは胸ポケット下くらいまでしかありません。
つまりプルオーバー(頭から被るタイプ)です。
襟にはウール生地で内張されています。
(無いモデルもあります。)
タグ
とてもシンプルですね。
1969年度契約品
文字は刺繍(!)です。
ファスナーの刻印は「riri」
デニソンを踏襲しているテーパーのついた大きいエポレット
ボタンは袖と同じ。
袖調整用ボタン
プラスティック製でイギリス軍のものに酷似しています。
袖裏側
各部の力布
袖(脇ではなく)の通気孔
縁は刺繍で並びはデニソンに類似
裾サイズ調整用タブ
ダットファスナーで開閉。
テイルピース用のダットファスナー
茶色っぽいOD色で塗装されています。
(一部剥がれています。)
テイルピース装着用のダットファスナー
背面
テイルピースの固定用ダットファスナー
テイルピース付根
裾に巻き込まれて縫製されています。
内ポケット
内側は当然ながら迷彩の褪色があまり進んでいませんね。
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3 その特徴とは?
なんといってもこの迷彩生地の色彩とパターンが独特ですよね。
諸外国の書籍では、パズルのピースに似てるので「ジグソーパターン」とか呼ばれています。
現用の一般用迷彩服や砂漠用迷彩服もこのパターンになっているので、以前のブラシュパターンは廃止されたのでしょうね。
配色は、ダークオリーブの生地にカーキ、ブラウン、グリーン、ブラックを用いて、雲形を描いていますが、所々白でプリントしてあるのが面白いです。
これはミスではなく、意図的にプリントしていますよ。
(この迷彩パターンは、1950年代に採用されたのですが、前述の通り同じ時期に違うパターンの迷彩も採用されていました。)
生地は、防風織したコットンのデニム生地で、これもデニソンスモックを踏襲しています。
一枚布ですが、本当に風を通さない造りになっていますよ!
デザインもデニソンスモックを踏襲しています。
構成は、エポレット付き、腰ポケット×2、腰ポケット×2、内ポケット×2で、テイルピース(ビーバーテイル)があります。
また、裾絞り用のタブ、プルオーバータイプのハーフジップ仕様、なんと襟のアンゴラウールまでデニソンスモックをコピーしていますね。
もちろん、左右の内ポケット、ボタンで絞れる袖口も同様です。
全体的な縫製は、丁寧で正確ですが、時々縫製ミスの個体も散見されます。
(今回のモデルは完璧でした。)
サイズ4は、アメリカ軍M65フィールドジャケットの「L」くらいのサイズ感ですね。
4 製造、サイズのデータです!
製造・契約年度 1969年
製造場所 ベルギー
契約会社 ベルギー
製造会社 〃
材 質 コットン
ウール
表記サイズ 4
(日本人のXL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約80cm
肩幅 約50cm
身幅 約72cm
袖丈 約69cm
状 態 中古良品
官民区分 官給品
入手方法 ヤフオク
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
このスモックも例にもれず、一般の戦闘服の上に着用する事を前提に作られています。
そのため、気丈が長く身幅もゆったりしていますね。
現代のフリース等の防寒着と合わせると、その防風性能から寒候期に活躍しそうです。
迷彩パターンも、日本の植生に合致していて沢山のシーンで使用可能ですね。
サバイバルゲーム、狩猟、野鳥観測そして勿論ヒストリカルゲームなど、大いに効果を発揮してくれそうです。
誰も着ている人がいない(!…私くらいでしょうか?)ので、シティユースでもかなり目立ちますよ。
プルオーバーは少々不便ですが、ゆったりしているので着脱は容易ですね。
(でも暫く脱がない場所での使用がベストかもしれません。)
嬉しいことに、最近大手通販サイトでも取り扱うようになっていきました。
いつでも誰でも入手できるようになりましたね。
ただし、今回のモデルは品薄です。
(特に襟にウール生地が縫い付けられていて、ポケット下端がラウンドタイプ。)
今回はベルギー軍の素晴らしい迷彩スモックを紹介しました。
いやー軍装品って本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20231127更新)
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参考:ベルギー軍ジグソーパターン空挺スモックの違うバージョンはこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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