今回は、アメリカ軍のフライトジャケット(品名はシャツ)を分析します。
以前分析した、A-1Bの一つ前の型になります。
短い期間使用されたモデルですね。
一着は補修もありますが、総じて程度は良好ですよ!
目次
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1 アメリカ空軍ウールフライトジャケットA-1A(シャツ・2種)とは?
現在こそアメリカ空軍といえば、世界最高峰のステルス戦闘機や多数の戦略爆撃機を有する強力な空軍として世界に知れ渡っています。
しかしその創設は新しく、第二次大戦終了後間もなくの1947年に遡りますね。
(それまでは旧日本軍と同様に、陸軍と海軍がそれぞれ専用の航空戦力を有する「航空隊」を編成していました。)
ヨーロッパの多くの国が、航空機黎明期の早々に、独立した空軍を保有していたのとは対照的で面白いですね。
他国に送れること約40年、紆余曲折の末、アメリカ陸軍航空隊からアメリカ空軍が独立しました。
でもアメリカが目指していた空軍は、他国とは違う全く新しい空軍(戦略空軍)の姿でしたね。
(とても恐ろしい空軍でしたね。)
そんな新設アメリカ空軍は、それまでの陸軍航空隊イメージを払拭させるという意味で、なんと個人装備のシンボルカラーを「エアフォースブルー」に統一します。
パイロットのフライトジャケットやパイロットスーツは文字通り「ブルー」に変更されました。
まさに「お気楽、極楽、アメリカ空軍」でしたね。
実用よりもカッコよさを第一優先としていたようです。
(個人被服に関しては、試行錯誤の跡が見て取れますが…。)
今回のモデルは、この時代に開発されたウール製(?)のフライトジャケット(シャツ)になります。
現代では、軍用として着用することに躊躇するカラーリングですが、当時は夢と希望に満ち溢れていたのですね。
さてさて、それはどんなフライトジャケット(シャツ)なのでしょうか?
今回は、アメリカ空軍装備マニア能見ならず、冬用のファッションアイテムをお探しのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
⑴ プレーンタイプ
前面
やはり左胸のアメリカ空軍マークは消失していますね。
背面
前面裏側
背面裏側
襟周りレイアウト
襟元にはボタンが2つ
襟裏はナイロン生地で補強
タグ①
胸ポケット
ボタンで開閉
腰ポケット
ボタンで開閉
ポケットフラップ裏はナイロン生地で補強。
袖
テーパー付きです。
袖口
ボタンで開閉
袖口内側もナイロン生地で補強。
ボタン
陸軍のM51フィールドジャケットやユーティティージャケットなどと同じデザインですね。
ブルーのプラスティック製。
ポケットなどの力の掛かる部分は念入りに補強されています。
⑵ ポケット補修タイプ
前面
このモデルも右胸にプリントされていたであろう空軍マークは消失しています。
背面
前面裏側
背面裏側
タグ
品名は「SHIRT」で本来は、パイロットスーツの下に着用するべきものですが…
襟付近
襟の裏地は、ナイロンの生地が貼られています。
首元のボタンは、2個あって、絞りを調整できます。
胸ポケット
ボタンで開閉
ポケットフラップの裏にもナイロン製の生地が!
今回のモデルは、全てのポケット本体にステッチの追加があって、補強されていました。
でも、縫製は荒いですね。😞
腰ポケット
胸ポケットよりやや大きいです。
こちらもボタンで開閉
袖口
ボタンで開閉
袖口裏側にもナイロン生地の裏地あり。
背面肩付近には、いつものステッチが。
クリーニングを繰り返すと、ウール生地が縮んでナイロン生地が余っているように見えます。
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3 その特徴とは?
生地はウールでやや厚みがあります。
保温力はありそうですが、素肌に着用するとガサガサで、あまり肌触りの良いものではありません。
タグによると品名は「SHIRT」(シャツ)になっていますが、多くのパイロット(爆撃機や輸送機の、比較的自由に動き回れるパイロット)は、パイロットスーツなどの上に着用していましたね。
デザインは、エポレットなし、胸ポケット×2、腰ポケット×2のジャケットタイプです。
(これでシャツ???)
所々ナイロンの裏地がありますが、クリーニングに伴うウール生地の収縮で、ナイロン生地に余りが出ているように見えます。
専用のトラウザーズ(E-1A)もあって、本来はペアで使用します。
この装備をパイロットスーツの下に着用するなら、パイロットスーツは1〜2サイズ大きいものでないと、難しいですね。
デザインはともかく、よく用途がわからない装備といえます。
全体的な縫製は、丁寧ですが、左右でポケットの形が違っていたりする、やや雑な仕立てです。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1950年代
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 ウール
ナイロン
表記サイズと各部のサイズ(平置)
プレーンタイプ
XL
(日本人のL)
着丈 約73cm
肩幅 約44cm
身幅 約62cm
袖丈 約60cm
ポケット補修タイプ
L
(日本人のL)
着丈 約72cm
肩幅 約43cm
身幅 約58cm
袖丈 約59cm
状 態 中古上品
官民区分 官給品
入手場所 ヤフオク
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
後に生地カラーを変更したA–1B同様、中途半端なイメージのあるジャケット(シャツ)ですね。
パイロットには、あまり人気がなかったようです。
パイロットスーツの下に着用してしまうと、全てのポケットが使用できなくなりますし、重く嵩張るのも、場合によっては死活問題ですね。
そのせいかA–1B以降は、後継のモデルが開発されていません。
途絶えてしまった系譜のジャケット(シャツ)ですね。
何かと使いづらいフライトジャケットですが、現代なら利用価値があります。
普段アウターとして着用するのは如何でしょうか?
4ポケットでデザインもごく普通ですし、カラーもブルーならボトムも合わせやすそうです。
(A-1Bよりも、コーディネート幅が広いかもしれませんね。)
軍用の被服としては今ひとつですが、ファッションにおいては、かなり使えるアイテムなのでは?
惜しむらくは、絶対数が少なく、入手困難ということです。
でもネットオークションや店舗でも時々見かけることがありますね。
あるいは古着屋でも目撃したことがあります。
気長に、そして緻密に探してみましょう!
購入の際には、度重なるクリーニングでサイズが縮んでいる場合があります。
必ず着用したり、実寸を確認しましょう!
今回は、アメリカ空軍の希少なウールフライトジャケットA-1Aを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20221024更新)
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参考:今回のモデルとペアで使用するトラウザーズに関する記事はこちらです。⬇︎
同じデザインながら生地カラーの違うモデルに関する記事はこちらです。⬇︎
同じ時期のアメリカ空軍の装備はこちらです。⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
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