今回は、2010年代のアメリカ軍フライトジャケットを分析します。
CWU-45Pとしては、最終モデルですね。
登場直後、マニアの間で大論争を巻き起こしました。
中古品ですが程度は良好ですよ!
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目次
1 アメリカ空軍フライトジャケットCWU-45P(最終型・83388E)とは?
ちょうど軍用機のエンジンが、レシプロ(往復内燃機関)エンジンからジェットエンジンに替わった1950年代から、世界中でナイロンのパイロット用装備が流行しました。
ナイロン繊維は、軽量で引っ張り強度があり、簡単に量産可能な「夢の繊維」でしたが、中東戦争、ベトナム 戦争などで大きな欠陥が露呈しました。
それは熱に弱いということです。
実際に各地域で戦争が激化すると、コクピットなどの火災により、ナイロン製フライトジャケットを着たパイロットは思わぬ被害に遭遇します。
これを重くみたアメリカ海軍は、新しい装備の開発に乗り出しました。
それは、火に晒されても燃え上がることがなく、瞬時に炭化してしまう繊維(難燃繊維)を用いたフライトジャケットやパイロットスーツでした。
そうして1970年代に開発されたのが、CWU-45Pでしたね。
その後、いくつかのマイナーチェンジを繰り返して、アメリカ全軍に支給。
兄弟ジャケットとも言われるCWU-36Pに進化したり、砂漠用のカラーが設定されたりしましたが、とうとう最終型の登場です。
シェルがそれまでのモデルより、大幅に変更されたため、違和感のあるCWU-45Pになってしまいましたね。
さてさて、それはどんなフライトジャケットなのでしょうか?
今回は、フライトジャケットマニアのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
以前のモデルは、シェルがセージグリーンでしたが、これはダークグリーンに変更されています。
しかも艶消しですね。
背面
前面裏側
ライニングは、キルトでノーメックス製のインターライニング(中綿)が入っています。
ちゃんとストームフラップも準備されていますよ。
内ポケットはありません。
背面裏側
前合わせはジッパーのみです。
勿論ジッパーは黒染めです。
タグ
2010年度契約で、サブタイプはまさかの「E」です。
腰ポケット
独特のフラップ付きでマジックテープで開閉
ポケット口の位置が高く、ハンドポケットができませんね。
左袖のシガレットポケット
これは継承されていますね。
袖はニットです。
勿論ノーメックス製ですよ。
腰ニット
袖ニットと同様です。
ジッパーは全て「YKK」です。
左胸には最初からネームタグ用のマジックテープが縫い付けられています。
ストームフラップの上端は、角を落としてあります。
ジグザグのステッチ。
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3 その特徴とは?
元々CWU-45Pは、CWU-36Pなどと同様シェルのカラーがセージグリーンでした。
でも今回のモデルは、ダークグリーンに変更されています。
またシェルとライニングでは生地の織り方を変えていますね。
そのため表面に艶がないのが特徴です。
シェルのカラー比較
今回のモデル
以前のモデル
(CWU-45P初期型サブタイプB)
まったく生地の色調が違っていますね。
アメリカ軍に何があったのでしょう?
勿論、他のCWU-45Pと同様今回のモデルにもインターライニング(中綿)が入っています。
そのため、全体的にモコモコしていますね。
インターミディエイトゾーン(−10℃〜10℃)を担当するのも同じです。
デザインは、これまでのCWU-45Pと同じですね。
構成は、左右の腰ポケット+袖ポケットで、袖、裾はニットです。
襟が付いていますが、チンストラップで立てることはできません。
襟の先端が丸く可愛いのは、音速で射出された場合に、襟の振動で顔を怪我するのを防ぐためです。
全体的な縫製は、予想以上に丁寧で、強度も十分ですね。
(メーカーによってこうも違うのでしょうか?)
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 2010年
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 ノーメックス
(難燃ナイロン)
表記サイズ M
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約63cm
肩幅 約48cm
身幅 約59cm
袖丈 約63cm
状 態 中古極上品
官民区分 官給品
入手場所 マニアと物々交換
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
今回のモデルの一つ前の型までは、シェルが艶のあるセージグリーンで、どこか神々しいイメージがありました。
一方今回のモデルは艶消しで、ダークグリーンであったことから、雰囲気がまるで違っていますね。
そのせいか、マニアの間で賛否両論、激しい論争が繰り広げられています。
諸先輩方は、一様にセージグリーンモデルの、それも最初期型を最高としていて、今回のモデルはゴミ扱いですね。
でも、より実戦を考える若手は、このカラーと艶消しを歓迎しているようです。
あなたはどう思いますか?
(心理学的には、先に認知したものを「正しい」とか「上」だと思うらしいのですが…。)
また今回のモデルは、やや紫外線にも強いという情報もあります。
(セージグリーンモデルは、油断するとすぐに変色しましたね。)
さて、このジャケットですが海軍由来のジャケットなので、とても暖かいジャケットです。
(中綿が入っているのでMA-1と同等かそれより僅かに上?)
普段使い(私有車や公共交通機関)では、少々オーバースペックかもしれませんね。
(でも暖かいことは良いことです!今年はラニーニャらしいので、このジャケットが活躍できるタイミングがありそうです。)
MA-1ほど普及していないので、個性を出したい方におすすめですね。
特にバイカーやキャンパーの皆さんには、難燃性というのも手伝って「安心して使えるジャケット」と言えます。
勿論、迷彩スモックを準備してサバイバルゲーム、狩猟や野鳥観測に使用するのも良いでしょう。
ノーメックス製品は高価ですが、今回のモデルは探せば安いものもあります。
(最終型は不人気なので平均僅かに安価ですよ。)
ただし、数年前までは大手通販サイトでも取り扱っていましたが、現在は見掛けません。
(でもショップにはあるはずです。)
入手は難しいかも知れませんね。
でも見つけて購入する場合は、念のため日射や蛍光灯の紫外線による褪色と状態を確認しましょう。
中古品の使用頻度は、ジッパーのプルタブを見るのが参考になります。
(黒染めが落ちていたら、結構な使用頻度で着用していると言えます。)
あと購入する場合は、材質に注意しましょう。
官給品を忠実に再現したナイロン製モデルには難燃性がありませんので火気厳禁です!
ところで今回のモデルは、岡山県在住のマニアの方と物々交換で入手することができました。
交換に応じてくれたGTさん、ありがとうございました、🙇♂️
(次回もよろしくお願いいたします。)
今回は、歴史的な難燃フライトジャケットCWU-45Pの最終型を分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね。
それでは、また次回をお楽しみに!
(20240701更新)
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参考:他のアメリカ軍難燃繊維のフライトジャケットに関する記事はこちらです⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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