今回は、1980年代の旧ユーゴスラビア軍スナイパー用迷彩ユニフォームを分析します。
既に亡国と化したユーゴスラビアですが、かつては魅力的な迷彩服を数種類装備していましたね。
今回は、そのうち最も奇妙な迷彩パターンを採用したモデルになります。
貴重なアイテムですが、今回もデッドストックですよ!
目次
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1 旧ユーゴスラビア陸軍スナイパー用リバーシブル迷彩ユニフォーム(マイクロダットパターン)とは?
東ヨーロッパで小国が集まり興った国ユーゴスラビア。
でも現在は、また分離してそれぞれの国に分かれてしまいましたね。
その歴史については他に譲りますが、やはり同じような民族が集まって一つの国を作るのは、とても難しいようです。
そんな旧ユーゴスラビアですが、チトー社会主義政権下では、公式的な迷彩は採用されませんでした。
陸軍将兵は仕方なく支給された迷彩テント(テントは迷彩でした。)を潰して、自前の迷彩服を作っていましたね。
迷彩テントから作った当時の迷彩服
(J.F.Borsarello著「CAMOUFLAGE UNIFORMS of European and NATO Armies 1945 to the Present」より引用)
政権が交代して、内戦の様相を呈してくるようになると、軍でも各種迷彩服が採用されました。
今回のモデルは、中でも旧ユーゴスラビア陸軍の山岳兵や狙撃兵に支給された、一種の迷彩ユニフォームになります。
その独特の迷彩パターンは、言葉で適切に表現することができないくらいユニークなものですね。
迷彩はともかく、全体的なデザインは、やはり旧ソ連軍が大戦中に支給したスナイパー用迷彩ユニフォームが原型のようです。
さてさて、それはどんな迷彩ユニフォームなのでしょうか?
今回は、世界の狙撃兵装備マニアのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
スモック
森林側前面
森林側背面
雪上側前面
雪上側背面
フード部はボタンで開放できますが、プルオーバー(頭から被る)タイプの衣料品ですね。
フード部のボタン
フード付け根にはドローコードもあり。
官給品ボタン
スモック各所には、艤装用のループが縫い付けられています。
袖
殆どストレートですね。
森林側の一部が雪上側まで回り込んでいます。
森林側迷彩パターン
近付いてみると細かいダットですが、やや離れてみると大まかなパターンにまとまっていますね。
胸のスリット
ボタンで開閉
ボタンは雪上側から開くような仕様
フードには両耳付近にスリットがあります。
これは斬新ですね。
(外の音を逃さない。)
フードのフェイスベール
雪上側用の白いフェイスベールはありません。
雪上側パターン
プリントを透けさせて再現しています。
唯一のタグらしきもの
(しかも途中で切れていました…😞)
トラウザース
森林側前面
森林側背面
雪上側前面
雪上側背面
股間は菱形の裁断
前合わせは頂部のボタンのみです。
裾にはスリットとドローコードを装備
左右腰スリット
ポケットはありません。
裾は雪上側に森林側が回り込んでいます。
おまけ①
ミトンも付属していました。
引き金が引けるように、人差し指が独立していますね。
意外に立体裁断でした。
おまけ②
専用の収納袋スポンサーリンク
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3 その特徴とは?
迷彩は、森林側がホワイトの生地に、ベース色のタンを塗って、その上に濃淡2色のグリーンとブラウンを斜めに、そして帯状にプリントし、そのあとで各色の小さなダット(点)を加えています。
(一部で濃いグリーンを用いて、メイプルリーフのようなパターンもプリントしてありますね。)
一方雪上側は、森林側プリントの透けや染みを利用した迷彩になっています。
(合理的ですね。)
イメージ的には、エアブラシを用いて塗装している塗装工の作業服…のような感じですが、少し離れて見ると大まかなパターンが見えてきます。
全て計算された迷彩ですね。
リバーシブルではありますが、完全リバーシブルではありません。
生地は、薄いコットンの平織りです。
軽量で通気性は抜群ですが、防風性能は低そうです。
デザインは、スモックがフード付きのプルオーバータイプで、胸に2つのスリットがあります。
(スリットはトラウザースの腰にもあります。)
やはり単色の戦闘服などの上に着用する簡易衣料品のようで、ポケット類は一切ありません。
全体的な縫製は、意外に丁寧で強度も十分です
(ユニフォーム自体の強度は少々足りませんが…。)
誰でも着られるように、そして身体の線を出さないように、かなり大きい造りになっていますね。
(これも旧ソ連軍スナイパーユニフォームのデザインを継承している(参考にしている?)ようです。
全体的な縫製は、かなり雑で不正確ですが、使い捨て…と考えるとこんなものでしょうか?
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1970年代
製造場所 ユーゴスラビア
契約会社 ユーゴスラビア
製造会社 〃
材 質 コットン
表記サイズ 不明
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
スモック
着丈 約62cm
肩幅 約59cm
身幅 約76cm
袖丈 約70cm
トラウザース
ウエスト 約60cm
股上 約36cm
股下 約74cm
裾幅 約27cm
着丈 約105cm
状 態 デッドストック
官民区分 官給品
入手場所 ヤフオク
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
初めてこの迷彩ユニフォームを見た時、兵士が自前で作ったローカルメイド品かと思いました。
(何か手作り感を感じましたよ。)
国内のオークションだったのですが、皆警戒したのか案の定誰も入札せず、かなり安価で落札することができました。
しかし、改めて観てみると意外に効果的な迷彩服なのでは?…と思えてきました。
ぜひ日本のフィールドで効果を確認したいですね。
ただ、流石に現在では全く見かけなくなりました。
(売れなくて処分されたものもあるかも…。)
探しているあなたは、海外のオークションを除いてみましょう。
確率は低いですが、もしかしたら出品されているかもしれませんよ!
(今回のモデルも、後日オークションに出品する予定です。気長に待っていてください。)
今回は、希少な旧ユーゴスラビア軍の狙撃兵用リバースブル迷彩ユニフォームを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20240106更新)
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参考:他のユーゴスラビア軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
東欧国の迷彩装備に関する記事はこちらです。⬇︎
* * *
Twitterで見つけました。
日本じゃ逆ですね。 https://t.co/aA7pAuobN2
— iwasa (@106rr_sp) 2021年1月3日
現役時代は「暴力装置」「税金泥棒」
退官したら「ク◯ゴミ 」「極右」
…と呼ばれるのは…やはり悲しいものがあります。
でもいつかこの動画のように、退職した自衛官にも優しい日本にしたいですね。
私は自衛隊と自衛官を応援します!
読んでいただき、ありがとうございました。
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