今回は、1970年代のイギリス軍迷彩トラウザースを分析します。
これまでに分析してきたP68DPMスモックと、ペアで使用するべきトラウザース(パンツ)ですね。
この後のモデルP85では廃止された大きな特徴が賛否両論でした。
あなたは必要な装備だと思いますか?
目次
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1 イギリス陸軍P68DPMトラウザース(初期型)とは?
前作P60で不評だった防寒性能を向上させるとともに、シェルを最初からDPM(分裂模様素材)に変更して開発されたP68スモックですが、勿論トラウザースも同時に開発されました。
とは言え、当初はスモックのみ多用されてトラウザースは使用しない場合が多かったようですね。
実際に頻繁に使用され始めたのは、フォークランド戦争くらいからでした。
それは何故だったのでしょう?
「戦闘服のロールスロイス」とまで称されるイギリス軍スモックセットですが、何か問題があったのでしょうか?
そもそも、それはどんな迷彩トラウザーズなのでしょうか?
今回はイギリス軍マニアのみならず、DPMコレクション初心者のあなたと一緒に、確認して行きましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
背面
前面裏側
なんと、ライニングがありますよ。
背面裏側
前合わせはボタンとジッパーです。
タグ①
タグ②
印字が殆ど消えいていますね。😞
ウエスト部前面アップ
特徴あるベルトループ、右前面の小ポケット(救急包帯入れ)に注意。
ウエスト部背面アップ
臀部のポケットは右側のみ。
ウエストのサイズ調整タブに注意!
(使用しない場合のボタンがありませんね。
右側面
スラントポケットと膝ポケットに注意
膝ポケットはボタンで開閉
ポケット下端はコーナーをカットしてあるタイプです。
スラントポケットは内側も迷彩生地
ウエストのサスペンダー用ボタンとループ
昔ながらの官給品ボタンですね。
何故かボタンが左右で色違い。
ジッパーの刻印は「CLIX」
左膝ポケットのボタンは破損していました。
P68のボタンは、後のモデルより割れやすい?
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3 その特徴とは?
迷彩はDPMの中でも、最初期に近いパターンで、カーキをベースにライトグリーン、ブラウン、ブラックを用いて、刷毛で丸く塗ったようなパターンを描いています。
この迷彩パターンまでは、グリーンの色調がとても明るい所が後のモデルと大きく違いますね。
(最初期のようにグリーンがダーク系でないところが評価の分かれる所ですね。)
生地は防風織されたコットン(サテン?)で、やや厚めです。
(スモックと共通です。)
デザインは、古くは第二次大戦中のウールトラウザースにも共通する、右腰前面に救急包帯(ファーストエイドドレッシング)用のポケットがありますよ。
ポケットは他にも、スラントポケット×2、膝ポケット×2、右臀部ポケットです。
サスペンダー用のボタンやループの他、ピストルベルト(弾帯)が使用できるベルトループも設けられていますね。
特筆すべきは、コットンポプリンのライニングが装備されている所です。
これは珍しいですね。
ライニング下部は縫い付けられておらず、通気性とブーツの着用を考慮していますよ。
現在でいうところの、「暖か裏地パンツ」と言ったところでしょうか?
しかし、ライニングは縫い付けで取り外すことはできません。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1960年代
製造場所 イギリス
契約会社 イギリス
製造会社 〃
材 質 コットン
表記サイズ 3
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
ウエスト 約45cm
着丈 約116cm
股上 約37cm
股下 約82cm
裾幅 約22cm
状 態 中古上品
官民区分 官給品
入手場所 大阪の専門店
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
じつはこのトラウザースのライニングは、当時の兵士にとって不評でした。
何故なら、迅速な体温調整に支障があったからです。
ライニングにより、防風・防寒性能は向上しましたが、本当に寒冷地で使用するにはライナーが必要でした。
また温暖な地域では、ただ蒸れるだけだったようですね。
そのため多くの兵士は、当時別に支給されていた軽量トラウザース(OG単色)を着用することが多かったようです。
どうしても上下DPMで使用する場合は、あろうことかライニングを全部取り外した(乱雑に切り取った)兵士もいたようですよ!
「至れり尽くせり」…が必ずしも兵士のためになるとは限らないのですね。
現在、殆どの国がレイヤード(重ね着)システムを採用して、よりフレキシブルな運用ができるように、トラウザースのライナーを省いていますね。
やはり少々過剰な装備だったようです。
とは言え、このトラウザースがあれば、日本でも秋、冬、春で使えそうですよ。
DPMの高い迷彩効果と併せて考えると、上下セットで使用した場合は最強の迷彩服になるかもです。
フィールドでのサバイバルゲーム、狩猟、野鳥観測、釣りなどオールマイティに使用できそうですね。
また有名なフォークランド戦争のイギリス軍を再現するヒストリカルゲームでは、なくてはならないアイテムでしょう。
ただし、このトラウザースも品薄です。
今回のモデルに限らず、軍物のトラウザースは程度が悪いものが多かったり、出回っている絶対数が少ない場合が多いですね。
(トラウザーズの宿命とも言えますね。)
購入される方は、気長に根気よく探してみましょう。
将来を考えてらっしゃる方は、ぜひデッドストックの最初期DPMバージョンを探してみてください。
将来、きっと助けてくれますよ!
今回は、イギリス軍のあまり兵士に人気のなかったP68DPMトラウザース(初期型)を分析しました。
いやー軍装品って、本当に面白いですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20230924更新)
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参考:他のイギリス軍DPM装備に関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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