今回は、1950年代のアメリカ軍寒候期用トラウザース(ズボン)を分析します。
形式からも判るように、M51シリーズの一端を担う装備ですよ。
現在の流行とは真逆のデザインが魅力ですね。
ある理由から、今回もデッドストックです!
スポンサーリンク
スポンサーリンク
目次
1 アメリカ陸軍M51ウールフィールドトラウザース(1870A)とは?
第二次大戦中のアメリカ軍が装備した寒候期用トラウザースは、通称「マスタードパンツ」と呼ばれたウール製のトラウザースでした。
(マスタードとはいうものの、どちらかと言えばブラウン系でしたが。)
やはり第一次大戦から続く、ウール系装備の流れを汲んだものだったのですね。
このウールトラウザースは、暖候期用のコットン製トラウザース(HBTシリーズ等)との併用で、終戦まで使用されました。
(映画「プライベートライアン」では、トム・ハンクス演じるミラー大尉他数名がウールトラウザースを着用していましたね。)
しかし戦後はナイロン繊維の普及に伴い、ウール製のトラウザースにも改良が加えられます。
折しも朝鮮戦争勃発によって開発が加速し、晴れて新型トラウザースが採用されました。
それが今回のモデルになります。
品名に「フィールド」が付いていることからお判りいただけるように、制服(サービスドレス)ではなく、野戦服の範疇に入ります。
さてさて、それはどんなトラウザース(ズボン)なのでしょうか?
今回は、ミリタリーマニアのみならず、ファッションリーダーのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
全体的にゆったりとしたデザインです。
スリムが主流の現代デザインとは一線を画すものですね。
各ポケットの両端には補強のステッチが。
背面
前面裏側
白い生地は、ポケット内側の生地や前合わせの補強生地です。
裾がわざと多く折り返してあるのに注意
背面裏側
前合わせはジッパーとボタンです。
大戦中のモデルは、ボタンだったのでかなり面倒でしたね。
タグはなく、全てスタンプです。
これはサイズスタンプ
まだNSNが存在していない時代の製品ですね。
データスタンプ①
データスタンプ②
1953年度契約品です。
ウールとナイロンの混紡です。
側面
各ポケットと、ウエスト調整タブ
ベルトループは、通常の細いベルト用です。
臀部のポケットはフラップがあって、フラップ裏面は別の生地です。
ボタンで開閉。
大戦中のモデルは、紳士服の用に片側のみフラップが付いていましたが、今回のモデルは左右にあります。
ジッパーは「GRIPPER」のブラスです。
右臀部ポケット内には、カッタータグが残っていました!
小さいボタン
ウエスト調整ストラップのバックルは金属(銅合金)です。
ウエスト内側には、サスペンダー用のボタンやループが縫い付けられています。
リッチですね。
よく見るとウエスト内側には生成りの生地で、小さなポケットがありました。
ボタンで開閉します。
因みに黒い斑点はカビではなく、漂白していない生成りの証拠です。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
3 その特徴とは?
まず生地ですが、大戦中のモデルと同様ウールサージです。
でも、ナイロンとの混紡になっていますね。
色調は、よりグリーンの強いものに変更されています。
デザインは、左右のスラント及び臀部のポケットの合計4ポケットですが、ウエスト内側にも小さなポケットがあります。
ごく一般的なスーツのズボンのようですが、臀部のポケットは、左右ともフラップがありますよ。
全体的に太めのデザインですが、これは防寒下着(ズボン下)などを履くための余裕です。
(でも昔のズボンは、太いデザインが多いですよね。)
ウエストには、金属バックルを用いた、サイズの調整タブがあります。
これは、現在のBDUまで踏襲されていますね。
全体的な縫製は、少々雑ながら強度は十分ですよ。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1953年
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 ウール
ナイロン
表記サイズ M–S
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
ウエスト 約46cm
股上 約33cm
股下 約69cm
着丈 約101cm
裾幅 約25cm
状 態 デッドストック
官民区分 官給品
入手場所 岐阜県の専門店
入手難易度 1(容易)
スポンサーリンク
実物 新品 デッドストック 米軍 M-51 ウールパンツ #1 / アメリカ軍 軍パン M51 軍物 軍服【T】【クーポン対象外】
スポンサーリンク
5 まとめ
実際に着用してみると、違和感を感じるくらい太いシルエットに、最初は困惑します。
でも、履き心地はけっして悪くないですよ。
むしろ、これだけ余裕があるなら、ジャージやフリースを着込めそうです。
また寒候期では、コットンの様に最初の接触が冷たくなくて良いですね。
ナイロンが入っていて軽量ですし、ウールも多いので暖かいですよ。
じつは、このモデルには裏話があります。
朝鮮戦争中に採用されて、量産されたM51フィールドトラウザースですが、採用後間もなく軍の方針が変更されました。
それは、ジャケットやトラウザースの素材を、ウール系からコットン系に統一するというものでした。
ウールの洗濯にはドライクリーニングが必要で、前線では必ずしも準備できない場合があったのですね。
(これは第二次大戦中から、ジャケットの洗濯で問題になっていました。)
通常の洗濯機で洗濯し、アメリカの標準的な乾燥機で乾燥させると、大幅に縮んだりしたのがその理由です。
せっかく開発され、支給されたのに勿体無い話ですね。
でも、これがマニアにとって思わぬ福音をもたらせました。
大量に製造され、ストックされていた余剰品は、そのまま民間業者に払い下げらたのです。
日本へは1980年代から入荷していますね。
でもデザイン的に、ミリタリーマニア以外には売れていません。
そのため現在でも探せばデッドストックが入手できますよ。
サイズも各種あって、日本人にもピッタリのサイズもありますね。
マニアは、ファッションやヒストリカルゲームで大戦中のウールトラウザースの代替品としてよく使用しています。
(私も数本入手しています。冬は通勤に使用していますよ。)
ファッションの場合、コーディネートには工夫が必要ですが、個性を出したい方には、特におすすめですよ!
今年は暖冬傾向ですが、一本入手して履いてみませんか?
今回は、朝鮮戦争時代のアメリカ軍のフィールドトラウザースを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20230118更新)
スポンサーリンク
スポンサーリンク
参考:同じモデルながら1980年代の契約品に関する生地はこちらです。⬇︎
朝鮮戦争時代のアメリカ軍被服に関する記事はこちらです。⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
スポンサーリンク
【あす楽】今なら10%OFF!ミリタリー 実物 米軍 M-51ウールパンツ USED WIP メンズ ミリタリー アウトドア【Sx】 プレゼント クリスマス 送料無料
スポンサーリンク