今回は、アメリカ軍の防寒パイロットスーツを分析します。
以前分析したCWU-1Pの後継モデルですね。
なんと殆どが難燃繊維でできている、夢の防寒パイロットスーツですよ。
まさかのデッドストックです!
目次
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1 アメリカ軍防寒難燃パイロットスーツ(CWU-64P)とは?
航空機が開発されたのは、1903年アメリカのライト兄弟が最初とされています。
既にこの頃から、パイロットの天敵は、上空の低い気温と機内の火災でした。
これは現代の軍用機でも同様です。
特に近年では、高射砲や各種ミサイルの性能が向上し、被弾による機内の火災と高空における緊急脱出などが懸念されていますね。
被弾や火災でも、どうやってパイロットの生命を守るかを最優先に考えるようになりましたよ。
(機体はいくらでも(?)製造できますが、パイロットの養成は簡単ではありませんから当然の考え方ですね。)
アメリカ軍でも、まず1960年代くらいから、CWU(コールドウェザーユニフォーム)という一連の防寒装備を開発してきました。
そしてベトナム戦争の戦訓を取り入れ、1970年代くらいからはユニフォームの素材を次第に難燃繊維に変えていきましたよ。
素晴らしいですね。実戦を経験している軍隊は、良い意味で進化し続けていますね。
今回のモデルは、そんなアメリカ軍がパイロットのために開発した防寒難燃のパイロットスーツになります。
とてもリッチな造りに、いったいどのくらいのコストが掛かるのか?…と心配してしまうくらいですね。
さてさて、それはどんなパイロットスーツなのでしょうか?
今回は、アメリカ軍パイロットマニアのみならず、通年キャンパーのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
全体前面
デザインはCWU-1Pを概ね踏襲していますね。
前面上半身
前面下半身
全体背面
背面上半身
背面下半身
前面上半身前面
アラミドのキルト製ライニングがあります。
前面下半身裏側
下半身にも裾ギリギリまでライニングがありますね。
背面上半身裏側
背面下半身裏側
前身頃はジッパーで開閉
ちゃんとストームフラップ(ウインドシールド)がありますね。
襟周りのレイアウト
タグ
1987年度契約品です。
胸ポケット
オープンタイプのスラントポケットですね。
ポケット内側の生地は、シェルと同じものです。
腰のスリット
ジッパーで開閉
右膝ポケット
水平のジッパーで開閉
左膝ポケットとナイフポケット
膝ポケットは垂直ジッパーで、ナイフポケットはダットファスナーで開閉
裾内側のジッパー
かなり長いジッパーで、これならブーツを履いたままでも履きやすそうです。
右ふくらはぎポケット
ジッパーで開閉
こちらにはペンポケットがあります。
左ふくらはぎポケット
こちらもジッパーで開閉
ネイムタグ用マジックテープ
袖ポケット
袖
袖口はマジックテープで開閉・調整
背面ウエスト部の伸縮生地
民間の作業用つなぎと同様のデザインですね。
名人ジッパーは上下から開くダブルジッパーです。
刻印は「SCOVILL」
フード前面
襟の中には簡易フードを内蔵
フード背面
おまけ
同モデルのサイズ違い。
(中古極上品)
背面
タグ
これも1987年度契約品です。
メーカーも同じですね!
ジッパー
殆ど使用されていません。
何故かナイフポケットのダットファスナーのみ使用感がありました。
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3 その特徴とは?
シェルの生地は当時のCWU-45P、-36Pなどと同じ、セージグリーンのナイロン系ノーメックス製で、表面には艶があります。
とても綺麗ですね。
一方ライニングは、前面が艶消しノーメックス製のキルトです。
(背面は上半身と下半身前面がキルトです。)
下半身背面は、シェルと同じ生地ですね。
デザインは、エポレットなし、胸ポケット×2、膝ポケット×3、ふくらはぎポケット×2、袖ポケット、腰スリット×2で、襟には簡易フードを内蔵しています。
面白いのは、CWU-1Pなどより裾のジッパーが長いものに変更されているところで、これでブーツを履いたままの着脱がより迅速にできるようになりました。
反面、胸ポケットはオープンタイプで、内側の生地も通常のノーメックスに変更されていますね。
(CWU-1Pではポケット口にダットファスナーがあって、内側は起毛した暖かい生地でしたね。)
全体的な縫製は、一番外に使用されている糸がやや弱い感じがします。
(この時代のノーメックス系のジャケットなども一部でありましたね。)
でも、基本は少々雑ですが、頑丈なアメリカンスタンダードですよ。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1987年
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 ノーメックス
表記サイズ 38R
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約160cm
肩幅 約51cm
身幅 約53cm
袖丈 約57cm
ウエスト 約49cm
股下 約71cm
裾幅 約25cm
おまけ(42L)
着丈 約168cm
肩幅 約54cm
身幅 約56cm
袖丈 約61cm
ウエスト 約52cm
股下 約80cm
裾幅 約25cm
状 態 デッドストック
(おまけは中古極上品)
官民区分 官給品
入手場所 ヤフオク
入手難易度 2(やや困難)
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5 まとめ
1980年代に日本でアメリカ軍難燃繊維製のジャケットが販売された時、一着6万円以上しました。
バブル期とはいえ、やはりMA-1などのナイロン製ジャケットに比べて、手の届かないアイテム…といったイメージが今も残っていますね。
極端な話ですが上半身だけで6万円以上だったら、今回のモデルのように全身だったらいくらで販売されたでしょうね?
(1980年当時、今回のモデルは大々的に販売されていませんでした。)
そんな高価な衣類をバンバン調達するアメリカ軍は、本当に凄い軍隊です。
一説によると、アラミドやノーメックスのナイロン系難燃繊維は、保管期限が定められたAC(エイジ・コントロール)品目らしいですね。
そのため現在払い下げられているものは、未使用品でも保管期限切れの物が多いらしいです。
とはいえ、中古品でもナイロンのように燃え上がり溶け落ちて大火傷になるということはないようですよ。
実際に着用すると普通に暖かいのですが、バイクなどで使用すると風の当たる部分から急速に冷えてきますね。
(風は通さないのですが、時間と共に膝が冷たくなってきました。ナイロン系だからでしょうか?)
冬はさすがに素肌の上へこのカバーオールを着用する人はいないと思いますが、例えばトレーナーでも下に着込んでおいた方が良さそうですね。
防寒に加えて難燃繊維製ということを考えると、 冬のキャンプにうってつけかもしれませんよ。
(焚き火の火が燃え移っても、燃え上がることはなさそうです。)
他にもスキーウェア、迷彩スモックを加えて野鳥観測、狩猟などにも使えそうですね。
価格もバブル期を基準にすると、ずいぶん安価になってきています。
現在では、楽天などでも未使用品が簡単に入手できますよ。
(良い時代になりましたね。)
取り扱い時には、紫外線による部分褪色に注意してください。
今回は、アメリカ軍が誇る最強の防寒パイロットスーツを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20231227更新)
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参考:今回のモデルの前作に関する記事はこちらです。⬇︎
他のアメリカ軍パイロットスーツに関する記事はこちらです。⬇︎
www.military-spec-an.comwww.military-spec-an.com
他のパイロットスーツに関する記事はこちらです。⬇︎
各国のフライトジャケットに関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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