今回は、1980年代の陸上自衛隊の迷彩服を分析します。
ええ、いわゆる「熊笹迷彩」ですね。
しかし、通常のモデルとは著しい違いがありました。
中古品でかなり褪色や使用感がありますが、程度は良好ですよ!
目次
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1 陸上自衛隊迷彩服1型(末期熊笹迷彩・PX品)とは?
ちょっと前ですが、TVでアフリカのある国の子供達が、学校で勉強してる画像が流れました。
インタビュアーが、その子供たちに「みんなの宝物はなに?」と聞いたところ、ほぼ全員が差し出したものは、日本製の鉛筆でした。
なんでも、芯が折れることなく、書き味もよいからだとか。
日本の製品全般に共通する、高い品質管理のレベルを端的に表した事例ですね。
じつは自衛隊の衣料にも同じことが言えます。
過去の装備ですが、迷彩服1型もそうでした。
それは
-
未使用品では、表記サイズと実寸に大きな狂いがない
- 縫製や材質がしっかりしていて長持ちする
-
量産品は迷彩生地の色調が同じ
という特徴がありましたね。
(PX品で迷彩パターンが全く違うタイプもありましたが…。)
これは官給品のみならず、PX(駐屯地内売店)で販売されていたPX品も同様です。
いやいや、それ普通でしょ?…と思ったあなたは幸せ者です。
諸外国の戦闘服を見ていると、同じメーカーの同じサイズでも各部の実寸が違っていたり、各パーツで迷彩生地の色違いなども普通にあったりしますね。
自衛隊の官給品衣類は、こと「規格に忠実」という点では世界一なんですね。
さて、そんな均質な戦闘服だった迷彩服1型ですが、その末期にはそれまでと違う製品が出現してきました。
それは、あきらかにそれまでの官給品や一般的なPX品とは違った色調のモデルでしたよ。
実際に、着用して訓練している隊員も目撃しています。
今回、偶然その幻ともいえるモデルを入手しましたので、緊急に分析してみたいと思います。
度重なる洗濯で褪色してはいますが、まごうかたなき「迷彩服1型」の色違いバージョンですね。
一説には、このカラーの迷彩服1型は、官給品には存在しなかったとか?
厳正な品質管理中に発生した製造誤差でしょうか?
それとも一般の迷彩服1型が褪色してこうなったのでしょうか?
今回は、コアな陸上自衛隊装備マニアのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
上衣
前面
一見別の迷彩服みたいに思えますね。
デザインは通常の迷彩服1型と変わりません。
背面
迷彩の色調が、量産品と違いますね。
ベース色を除き、各色の色調差が少ないです。
前面裏側
背面裏側
勿論、襟はボタンで立てることができます。
エポレットは、僅かにテーパーのついたクサビ型。
ボタンも官給品と同じですね。
ポケットのデザインも、量産品と同じです。
ボタンで開閉。
袖口もボタンで開閉
肘の補強生地が内側にあるのも変わりません。
背中のサイズスタンプ
上衣タグ
シンプルなPX品タイプですね。
前身頃裏側
比較的日射が当たらない前身頃裏側の生地も、あきらかに量産型とは色調が違っています。
左胸のネームタグ跡
元の迷彩生地は、量産型よりベース色が暗い色調ですね。
ネームタグの下にあったのはブラウンですが、量産型と色調が全く違います。
(ポケットフラップの部分はマホガニーブラウンですがブラックに近いですね。)
右襟の階級章(二等陸曹です。)跡
ここもブラウンです。
その周りはグリーンですが、とても暗いグリーンで、ブラックグリーンとも言えるくらいの色調ですね。
下衣
前面
こちらもデザイン的には量産品と変わりません。でも…
背面
前面裏側
背面裏側
前合わせはボタンのみ。
腰ポケット
ボタンで開閉。
裾上げされていました。
下衣のタグ
上衣と同じものです。
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3 その特徴とは?
まず迷彩ですが、パターンは量産型と変わりません。
しかしベースとなる生地色がライトグリーングレイ(明灰緑色)がさらに暗いグレイグリーン、又はカーキーグレイになっています。
また、他の色も配色は同じですが、グリーンがブラックグリーンに、レッドブラウンがマホガニーブラウンに、マホガニーブラウンがブラックになっていますね。
そのため、各色の明度差が少なくなって遠目には2色迷彩に見えるのが特徴です。
生地の質やデザインは官給品量産型やPX品と全く同じです。
ここで一般的な量産型と今回のモデルの色調を比べてみましょう。
一般的な量産型(背面)
今回のモデル(背面)
どうでしょう?
どうしても、量産型が洗濯や日射で、今回のモデルのように褪色するとは思えないのですが…。
サイズやデザインは、官給品の迷彩服1型と全く同じです。
構成は、上衣がエポレット付き、胸ポケット×2のシャツタイプ。
下衣が腰ポケット×2とシンプルですね。
全体的な縫製は、正確かつ丁寧で、さすが日本製…なのは変わっていません。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1980年代
製造場所 日本
契約会社 日本
製造会社 〃
材 質 コットン
ビニロン
表記サイズ 1
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
上衣
着丈 約73cm
肩幅 約42cm
身幅 約53cm
袖丈 約54cm
下衣
ウエスト 約43cm
着丈 約98cm
股上 約31cm
股下 約66cm
裾幅 約22cm
状 態 中古並品
官民区分 民生品
入手場所 ヤフオク
入手難易度 4(極めて困難)
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5 まとめ
その昔、陸上自衛隊旭川駐屯地のすぐ近くに、自衛隊の個人装備品(使用不能品や廃棄品)のみを販売しているSHOPがありました。
そこには、ボロボロに使い古された戦闘服などが驚くほど高値で販売されていましたね。
何回か行ったことがありましたが、あまりの高値に何も買えずじまいでした。
(今思い出しても悔しいですね。まだお店はあるのでしょうか?)
そこで見た迷彩服1型は、全て洗濯で褪色していましたが、今回のモデルとは違う色調に褪色していました。
どうやら今回のモデルは、最初から違う色調で製造されたモデルのようです。
では、何故このモデルが製造されたのでしょうか?
迷彩服1型に関しては、以前から「迷彩としては明るすぎる」という評価がありました。
それを聞きつけた製造メーカーが、試験的に迷彩の色調を変更してPXのみで販売したものかもしれません。
または、官給品1型迷彩生地の不足により(昔は、官給品も共済組合品も同じ迷彩生地を使用していました。)、代替品として使用されたのかも。🤔
詳細は不明ですが…だとしたらとても面白いですね。
今後は、より良質なサンプルの入手と、事実の解明のために調査したいです。
(気長に取り組んでみたいと思います。)
今回は、陸上自衛隊迷彩服1型の違う色調のバージョンを分析しました。
いやー自衛隊装備品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20231104更新)
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参考:他の陸上自衛隊迷彩服1型の装備に関する記事はこちらです。⬇︎
この迷彩服と同時期のOD単色服はこちらです。⬇︎
後に入手した末期熊笹迷彩生地を用いた衣類に関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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