今回は、1960年代のアメリカ軍ユーティリティーユニフォームを分析します。
一部のパーツやデザインを変更された後期のタイプですね。
ベトナム戦争を取り扱った映画でもよく見かけます。
今回はシャツが中古極上品、トラウザーズはデッドストックですよ!
目次
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1 アメリカ軍ユーティリティートユニフォーム(OG-107・後期型)とは?
第二次大戦中にアメリカ陸軍は、戦闘や各種作業時に使用できる汎用性の高い衣類を兵士に支給していました。
初期にはブルーデニム生地のモデル。
(極初期にはブラウンのデニム生地モデルもあり。)
1940年代からはOD(オリーブドラブ)のHBT生地各種モデルが支給されましたね。
HBT(ヘリンボーンツイル:杉綾織)は軽量で丈夫、とても使いやすい生地できたので多くのモデルが製造されました。
ところが大量の兵士を擁するアメリカ軍にとっては、
- 生地色がバラバラ
- デザインのバリエーションが多過ぎる
ことから、補給にも混乱が生じる始末。
またHBT生地自体の価格も大きな問題でした。
それを打開するために、戦後の1950年代には新しいユーティリティー装備が開発されましたよ。
デザインの参考にしたのは、1940年代に開発されたHBTユニフォーム。
使用された生地は、一般的なコットンサテンでした。
そして最初に完成したのがOG-107(オリーブグリーン107)という色番号で呼ばれているユーティリティーユニフォームでした。
今回のモデルも、同じOG-107なのですが、より使い易く(?)改良された後期型になります。
特にジャケットは、大きな改良が施されているのが特徴ですよ。
さてさて、それはどんなユーティリティーユニフォームなのでしょうか?
今回は、アメリカ軍装備マニアのみならず、ハリウッドの戦争映画ファンのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
シャツ
前面
背面
前面裏側
背面裏側
襟周りレイアウト
ポケットフラッフが五角形なのが特徴ですね。
襟周りレイアウト(開襟)
前合わせはボタンのみ。
うなじのサイズタグ
FSNが記載されていますね。
裾裏側のタグ
1968年度契約品です。
生地裏のナンバリング
右胸ポケット
ボタンで開閉
初期型とはポケットフラップ、ポケット本体のデザインが変更されました。
左胸ポケット
ポケットフラップ上縁にステッチあり。
これはペン用スリットのステッチですね。
ポケットの中にはペン用の小ポケットあり。
袖
テーパー付
袖口はボタンで開閉
マチはありません。
ボタン
肉厚のプラスティック製。
両面使用可能。
トラウザーズ
前面
とてもシンプルなデザイン。
やや太めのデザインが時代を感じさせますね。
背面
前面ともども左右対称のデザインです。
前面裏側
背面裏側
前合わせはジッパーとボタン
ボタンはトロピカルコンバットユニフォームなどの肉厚タイプ。
タグ
1968年度契約品ですね。
36はウエストサイズ
33は股下長
生地裏のスタンプ①
生地裏のスタンプ②
左側面レイアウト
腰スラントポケット
ヒップポケット
ボタンで開閉
ベルトループは一部が厚い生地を避けて縫い付けられていますね。
ジッパー
刻印は「42」「TALON」
シャツ(中古極上品)とトラウザーズ(デッドストック)の色調差
程度の違いはあれ、同年度契約品ながらメーカーにより生地色にばらつきがあるようですね。
着用例
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3 その特徴とは?
生地はOG(オリーブグリーン)に染められたコットンサテンで、やや厚みがあり肌触りが良いです。
ある程度の防風性能がありますが、冬物衣類に使用されるほどではありません。
(逆に夏は少々蒸します。)
この生地は、使用と洗濯を繰り返すことで褪色やタッパリング(縫い目の縮み)で独特の雰囲気が出てきますよ。
デザインは、シャツがエポレットなし、胸ポケット×2で、左胸ポケットにはペン用のスリットと内部に小ポケットがあります。
一方トラウザーズは、腰ポケット×2、ヒップポケット×2で、とてもシンプル。
初期型(いくつかバリエーションありますが)と後期型との大きな相違点は、
シャツ
- 袖が筒袖 → ボタンダウン
- 胸ポケットフラップが長方形 → ホームベース型
- 平ボタン → 肉厚両面使用ボタン
トラウザーズ
- ウエストサイズ調整ストラップあり → なし
- フロントがボタンダウン → ジッパー
という違いがあります。
全体的な縫製は、少々雑ですが強度は抜群というアメリカ軍スタンダードな仕立てですよ。
4 製造とサイズのデータ
製造・契約年度 1968年
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 コットン
表記サイズ シャツ
15 1/2×33
トラウザーズ
36×33
(日本人のL〜XL)
各部のサイズ(平置)
ジャケット
着丈 約75cm
肩幅 約42cm
身幅 約58cm
袖丈 約62cm
トラウザーズ
ウエスト 約44cm
着丈 約117cm
股上 約37cm
股下 約81cm
裾幅 約25cm
状 態 シャツ
中古極上品
トラウザーズ
デッドストック
官民区分 官給品
入手場所 東京の専門店
入手難易度 1(容易)
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5 まとめ
今回のモデルも、当時はベトナム戦争で使用されました。
でもサテン生地は確かに丈夫でしたが、ベトナムの気候には適しているとは言い難いものだったようですね。
また、ポケットが少なかったのも問題でした。
最終的には、熱帯用のトロピカルコンバットユニフォームが開発・支給され、今回のモデルは一部の部隊(砲兵)とか後方で使用されるようになりました。
ところで今回のモデルは、映画「フルメタルジャケット」でも教育隊のシーンで使用されていましたね。⬇︎
蛇足ですが、このデザインは後のモデル(OG-507)にも継承されましたよ。
熱帯での使用はともかく、日本の春や秋にはぴったりのユニフォームだと言えますね。
特にトラウザーズは現在の流行に相反する太めのシルエットなので、ファッションに使用するのも面白いかもしれませんね。
嬉しいことに今回のモデルは、大手通販サイトで入手可能です。
精密なモデル品も販売されていますね。
ただ程度の良い個体やデッドストック品は、プレミアがついて高額になりつつあります。
購入は少々急いだほうがよさそうです。
購入する場合は、サイズの確認は必須ですが、程度の確認を確認しましょう。
ユーティリティー装備なので意外と使用されて破損、汚れ、欠品のある個体が多いですね。
特に実際に兵士が使用していた個体は、バリバリに糊付けされていて確認が難しいものもあります。
細部まで念入りにチェックしましょう!
私は、シャツのデッドストックを探してみたいと思います。
今回は、アメリカ軍コットンユーティリティーユニフォーム(OG-107・後期型)を分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それではまた、次回をお楽しみに!
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参考:他のアメリカ軍ユーティリティーユニフォームに関する記事はこちらです。⬇︎
www.military-spec-an.com他のアメリカ軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍の単色衣類に関する記事はこちらです。⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
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