今回は、1960年代の陸上自衛隊迷彩服1型を分析します。
以前分析した陸上自衛隊迷彩服1型(最初期)と同じ時期の製品ですが、今回のモデルは実際に隊員が使用していた中古品になります。
しかも僅かに迷彩パターンが違っていました!
中古品ですが、程度は極上ですよ!
目次
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1 陸上自衛隊迷彩服1型(一般隊員用・初期生産品)とは?
現在、世界の軍隊で使用されている迷彩服。
その迷彩生地は、多くが基本的に各種材質のローラーに迷彩パターンを彫刻し、それに染料を塗って生地にプリントします。
一種の版画ですね。
(その昔は木板にパターンを掘り込んで、文字通り「版画」していました!)
複数の迷彩色が必要な場合は、各色毎のローラーを複数準備します。
これにより同じ迷彩生地を大量に製造することができるわけですね。
ところが各国とも初期の生産品(手抜きが十八番の国々では現在でも…)には品質が一定ではなく製造時の誤差が発生していました。
そのため往々にして迷彩パターンの「ズレ」が生じたり、パターンが僅かに違っている場合がありましたよ。
(場合によってはプリントローラーの劣化も原因だったりします。)
それは高品質で均質な製品を送り出す日本でも同様だったようですね。
今回のモデルは、陸上自衛隊が初めて採用した、いわゆる「1型迷彩(通称:熊笹迷彩)」生地を用いた迷彩服 1型なのですが、先行量産型ともいえるモデルになります。
最初期のモデルに比べて僅かに迷彩パターンと迷彩色調が違っているのが特徴ですね。
しかも中古品なので、その褪色具合も面白い変化となっていますね。
さてさて、それはどんな迷彩服1型なのでしょうか?
今回は、コアな陸上自衛隊マニアのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
上衣
前面
後のモデルに比べてやや暗い色調が特徴です。
ある程度使用されているので、迷彩各色が褪色していますね。
背面
迷彩パターンは、各色がほとんど接触していない初期生産型特有のものですね。
前面裏側
背面
襟周りレイアウト
襟裏のステッチ
そしてボタンを…
左襟のボタンホールに掛けることにより襟を立てることができます。
前合わせはジッパーのみ。
タグはただの白い生地でした。
(今回のモデルは記名あり。)
背面上部は生地が二枚重ね(ヨーク)になっていますが、一枚生地ですね。
ここには謎のナンバリングが。
認識番号ではありません。
エポレット
弱いテーパー付のクサビ型です。
胸ポケット
ボタンで開閉
ポケットのボタンホール生地(五角形)は、ポケットフラップに縫い付けられています。
ネイムタグ
部隊は「第34普通科連隊」(板妻)ですね。
袖
テーパー付です。
肘の補強生地は、表面に縫い付けてありました。
袖口はボタンで開閉・調整。
裾左右にはマチ付
ジッパーは🌸マークの官給品です。
勿論「YKK」製
階級章
「陸士長」のハイビジタイプ。
下衣
前面
背面
前面裏側
背面裏側
前合わせはボタンのみ
タグ
下衣は無記名でした。
ボタンは後の量産型よりも濃いODのプラスティック製。
右側面レイアウト
特徴ある幅広のベルトループに注意。
腰ポケット
ボタンで開閉
下衣のポケットにあるボタンホール生地は四角形で、やはりポケットフラップに縫い付けられていますね。
裾
やはりテーパー付。
今回のモデルは裾上げされていました。😭
膝の補強生地は、肘と同様に表に縫い付けてあります。
おまけ
今回のモデルのすぐ後に量産化されたと思われるモデル。
このモデルは1970年度契約のタグ付き官給品です。
(中古並品:上衣のみ)
前面
迷彩色調やパターンが今回のモデルと同じですね。
背面
前面裏側
背面裏側
襟周りレイアウト
前合わせはジッパーのみ。
タグ①
1970年度契約品です。
このモデルはちゃんとしたタグがありました。
年度表記の下二桁がスタンプですね。
タグ②
タグの上下にはフェルトペンで部隊名などが記入されていました。
エポレット
テーパー付きのクサビ型です。
官給品ボタンで開閉
胸ポケット
アメリカ軍のM51ウールフィールドトラウザーズのようなボタンでブラウンのプラスティック製
(左右同じでした。)
袖
肘の補強生地は外側に縫い付けられていますね。
袖口はボタンで開閉
(勿論マチ付きです。)
裾左右の合わせにもマチあり。
脇の通気孔
背中のライニング
ジッパーはブラス製の官給品
勿論メーカーは「YKK」
使用されているボタンは2種類ありました。
上:胸ポケットのボタン(米軍のボタンに酷似)
下:袖などのボタン(官給品)
迷彩パターン
僅かにパターンが違っていますが、ちゃんとワンコとプテラノドンがいますね。
官給品量産型1型迷彩識別パターン
この上衣は、実際に使用されて洗濯を繰り返している個体なので迷彩色調はやや変化(褪色?変色?)していますが、パターンは今回のモデルに似ていますね。
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3 その特徴とは?
迷彩は、ライトグリーングレイ(明灰緑色?)の生地に、レッドブラウン、グリーン、チャコールグレイを用いて、雲や葉のようなパターンをプリントしてあります。
最初期の迷彩パターンよりも各色同士の接触部分がやや多く、パターンも僅かに違っていますね。
迷彩パターン比較
(◯の部分に注意です。)
今回のモデル
(迷彩パターンを比較するため画像を右に90°倒しています。)
最初期型
(迷彩パターンを比較するため画像を左に90°倒しています。)
◯の部分だけをみても、パターンの違いがわかりますね。
(今回のモデルは、各パターンが全体的にやや肉厚で、各色の間隔が狭いです。)
参考:後の量産型タイプの迷彩
迷彩各色の境目がさらに無くなっていますね。
生地は、コットンとビニロンの混紡で、丈夫ながらやや通気性が悪いですね。
また洗濯によって、縮んだり褪色(変色)しやすいのも特徴です。
デザインは、上衣がエポレット付き、胸ポケット×2で前合わせはジッパーで、襟はボタンで立てることができますよ。
下衣は腰ポケット×2というシンプルなもの。
今回のモデルと後の量産型とのデザイン相違点は、
- 上衣裾左右にマチがある
- 肘や膝の補強生地が表面に縫い付けられている
ですね。
タグは白紙(白布?)で、記名用の枠線がないタイプです。
(これは初期生産型と同じですね。)
全体的な縫製は、とても丁寧かつ正確で、上質な仕立てです。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1960年代
製造場所 日本
契約会社 日本
製造会社 〃
材 質 コットン
ビニロン
表記サイズ 不明
(日本人のM〜L)
各部のサイズ(平置)
上衣
着丈 約70cm
肩幅 約41cm
身幅 約52cm
袖丈 約54cm
下衣
ウエスト 約42cm
着丈 約94cm
股上 約33cm
股下 約67cm
裾幅 約23cm
状 態 中古極上品
官民区分 官給品
入手場所 神奈川のイベント
入手難易度 4(極めて困難)
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5 まとめ
我が国の製品ながら、その開発・採用の経緯は全く不明で謎の多い「迷彩服1型」
(当時の関係者はさすがに知っていると思いますが…😅公開されていませんね。)
当ブログでは、今回のモデルも含めて5種類の迷彩パターンを確認しています。
いずれも「単なる製造誤差」では済まされない差異がありました。
厳格な品質管理が行われる日本の製品としては珍しくアバウトな印象がありますね。
一説には1960年代半ばに開発されたとあり、1970年代までの製品が今回のモデルと同じ迷彩パターンが使用されていたようです。
まだまだサンプルが欲しいですね。
それはともかく、古い迷彩服1型の入手は困難です。
目にする機会は少ないですが、オークションやリサイクルショップを当たって見ると、場合によっては現在でも入手することができるかも知れません。
探しているあなたは、ぜひチェックしてみてください。
私は1970年代の官給品タグ付きモデルを探してみたいと思います。
いやー自衛隊装備品って、本当に素晴らしいですね!
それではまた、次回をお楽しみに!
(20240607更新)
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参考:迷彩服1型に関する記事はこちらです。⬇︎
他の陸上自衛隊1型迷彩装備に関する記事はこちらです。⬇︎
他の自衛隊装備に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍の迷彩服に関する記事はこちらです。⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
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