今回は、1950年代にアメリカ軍が支給したフライトジャケットを分析します。
勿論モデル品ですが、とてもよくできていますね。
「モデファイド」とは「改造」を意味します。
個人的には、B15シリーズの中で最も気に入っているモデルです!
中古品ですが程度は良好ですよ!
目次
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1 アメリカ空軍防寒フライトジャケットB-15C(モデファイド・モデル品)とは?
1903年に航空機を開発したアメリカは、航空衣料の分野でも他国にリードしていました。
第二次大戦前から、アメリカ陸軍航空隊は各種皮革を用いたフライトジャケットを計画的に量産していましたね。
中でもステアハイド(馬革)のA-2とシープスキン(羊革)のB-3は特に有名でした。
でも第二次大戦が始まり、パイロットの大量育成が始まると、皮革製のフライトジャケットの在庫は次第に底をついてきます。
(やはり量産が難しいのですね。)
そこで皮革ではなく、他の材質でフライトジャケットを製造することに変更されました。
そうして1944年に生まれたコットン製フライトジャケットの一種がB-15です。
今回のモデルは、そのB-15系列の中でも、大戦後にシェルの材質をナイロンに変更した4番目のモデルを再現しています。
実はB-15Cは本来、ボア付きの襟だったのですが、ある理由から後にニット襟に改良されたましたね。
MA–1と同様、インターミディエイト域(+10℃〜−10℃)をカバーするジャケットですよ。
さてさて、それはどんなフライトジャケットなのでしょうか?
今回は、フライトジャケットマニアのみならず、着ている人の少ない防寒ジャケットをお探しのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
よく見ると、襟と他のニットが違っていますね。
これは一旦ボア付き襟として製造されたものを、後日ニット襟に改造したことを表しています。
袖や腰と同じニットが入手できなかった当時の状況をわざわざ再現しているのですね。
ここまで再現されるともう脱帽です。
(通常MA-1では、襟と袖が同じニットですね。)
でも、この改造で後のMA-1に似てきました。
背面
丈が短いのは、ペアで使用する股上の長いトラウザースがあったから。
前面裏側
内ポケットもMA-1とよく似ていますね。
背面裏側
前合わせはジッパーのみですが、ストームフラップがあります。
タグ
元々のタグの上に、新しいタグを縫い付けてありますが、これは当時の官給品にも見られた処理ですね。
ここまで再現しますか!
(MA-1にこの処理はありません。)
襟周りレイアウト
ジッパーは復刻クラウンのスプリングロックジッパーです。
スライドタブの下に、爪が出ているのが特徴ですね。
前見頃のレザータブ
酸素マスクのクリップを取り付けるためのもの。
腰ポケットと脇のタブ
いずれも黒染めのダットファスナーで開閉
ポケット内側の生地は毛布のような材質で、ハンドウォーマーを兼ねています。
左袖にあるシガレットポケット
このジッパーもスプリングロックジッパーです。
袖
立体裁断で、テーパー付き
袖口にニットを装備
ニットに段差はありません。
腰ニット
やはり段差はありません。
背面肩付近のステッチ
陸軍航空隊から続く空軍マーク
でも下の文字が空軍に変更されていますね。
(熱転写プリント?)
内ポケット
ライニングの背面ステッチ
裏側肘関節部分のステッチ
生地は当時のナイロンを繊維から再現
艶が当時の官給品にそっくりです。
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3 その特徴とは?
外観は、襟の改造によって後のMA-1に似てきましたね。
シェルはオリーブ色のナイロン製で、このメーカーは当時のナイロンを繊維から再現したそうですよ。
(マニアックですね!)
このカラーのナイロン生地を用いたアメリカ軍フライトジャケットは、他にL–2のみになります。
(その他はエアフォースブルー、セージグリーン、シルバーグレイです。)
ほぼ全面にライニングとインナーライニング(中綿:コットンとウールのパイル生地)があって、ジャケット自体にある程度の重量があります。
デザインは、エポレットなし、腰ポケット×2、内ポケット×2、左袖シガレットポケットで、襟、袖口、裾はニットです。
珍しい所では、前見頃に皮革製のタブ、脇に各種コードを留めておくためのタブがあります。
(MA-1の初期型でもよく似たパーツがありましたね。)
全体的な縫製は、当時の官給品に比べると、やや強度が足りないようです。
また、このメーカーの特徴として、ジッパーの生地が波打つ現象があります。
(一部作動に影響します。)
もしかしたら、ジッパーの生地に一般的なものが使用されているのかもしれませんね。
ここはジャケットの単価が上がるかもしれませんが、有名メーカー品を使用した方が良いのではないでしょうか?
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1980年代
製造場所 日本
契約会社 日本
製造会社 〃
材 質 ナイロン
ウール
表記サイズ 40
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約63cm
肩幅 約48cm
身幅 約63cm
袖丈 約62cm
状 態 中古極上品
官民区分 民生品
入手場所 名古屋のデパート
入手難易度 1(容易)
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5 まとめ
襟をボアからニットに変更された理由は、パイロットのヘルメットに原因があります。
大戦中のパイロット用ヘルメットは、皮革または布製で頭に密着した、どちらかというとイヤホン装備や頭部の保温が目的でした。
しかし、より高速のジェット機が主流となった戦後は、各種衝撃から頭部を保護することに目的が変わっていきましたね。
そのため、当初の比較的柔らかい素材のヘルメット(ソフトシェルヘルメット)は、現代のパイロットヘルメットのように合成樹脂(プラスティック)などを用いたハードシェルのヘルメットに移行していったのですね。
襟のボアは首の保温に最適だったのですが、ハードシェルヘルメットを使用する場合、首がまわらず少々邪魔になったようです。
さて、今回のモデルですがインナーライニングがウールとコットンのパイル生地なので、意外に重いのも特徴です。
(でも不快ではなく、嬉しい重みですよ。)
防風性能と保温力は、特に問題がありません。
丈が短く気軽に羽織れることができるので普段着にぴったりですね。
(反面、バイクなどで使用する場合はオーバーパンツなどの腰から下の防寒に工夫が必要です。)
世に氾濫しているMA-1の各型とは明らかに違うカラーというのも個性が出て良いですね。
(着用している人がとても少ないです。)
ただナイロンなので火気やタバコ、そして熱くなる薪ストーブの煙突やマフラーには十分注意しましょう!
ところで、今回のモデルのメーカーは現在でもミリタリー界に君臨している有名メーカーです。
このモデルも細部を変更しながらずっと生産販売されていますよ。
最早、いつでも誰でも、どんなサイズでも入手可能です。
ただし、かなり高価です。
しかし、価格以上の満足感を得られるのが嬉しいですね。
また、再現性はやや劣るものの、より廉価版のモデルを販売しているメーカーもあります。
(こちらはエラーでB-15Bとなっていますが、ジッパーの位置からB-15Cのようです。)
さる刑事ドラマの初期シーズンで、主人公の一人が一時期着用していたことでも有名になりましたね。
予算に応じて対応できるのが嬉しいですね。
今回は、モデル品ながらとてもよくできたアメリカ空軍B-15Cフライトジャケットを分析しました。
いやー軍装品って、モデル品も本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20240227更新)
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参考:他のアメリカ空軍(旧陸軍航空隊を含む)フライトジャケットに関する記事はこちらです。⬇︎
他のアメリカ軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
各国のフライトジャケットに関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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