今回は、1970年代の韓国陸軍戦車兵用迷彩カバーオールを分析します。
海外では「ヌードルパターン」と呼ばれていますね。
韓国軍が国民の民主化運動を武力で阻止した「光州事件」で使用された一連のモデルのバリエーションになります。
今回も残念ポイントもありますが、程度は良い方ですよ!
目次
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1 光州事件で使用!韓国陸軍戦車兵用迷彩カバーオール(ヌードルパターン)とは?
韓国軍の迷彩服使用は、意外に古く朝鮮戦争時代に遡ります。
1950年に勃発した同戦争では、国連軍としてイギリスが参加していたため、大戦中の余剰品であった防風迷彩スモックなどが供与されていましたね。
またアメリカ軍のミスから、鹵獲したドイツ武装親衛隊迷彩服が使用されたりしていましたね。
その後、悪行を繰り広げたベトナム戦争では、アメリカ軍のダックハンター迷彩に似たパターンの戦闘服を装備していました。
今回のモデルは、その後の1970年代後半(諸説あり。)に開発されたとされている、韓国軍オリジナル迷彩生地で製造された戦車兵用カバーオールです。
(この迷彩生地でできた戦闘服は(デザインの違いはあれど)世界に輸出されていたことでも有名ですね。)
そうそう、同じ迷彩生地を使用した戦闘服は、大韓民国歴史博物館にも展示されていますよ!
さてさて、それはどんな迷彩カバーオールなのでしょうか?
今回は、韓国軍装備マニアのみならず、迷彩服コレクション初心者のあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
全体前面
左右非対称のデザインです。
(迷彩のせいでポケットなどがよくわからないですね。😅)
前面上半身
前面下半身
全体背面
背面上半身
背面下半身
前面上半身裏側
前面下半身裏側
背面上半身裏側
背面下半身裏側
襟周りレイアウト
前合わせはジッパーのみです。
ストームフラップ(ウインドシールド)がありますね。
うなじのタグは印字消失です。😞
(韓国装備あるあるですね。)
前身頃裏側のタグは取り外されていました。
エポレット
僅かにテーパーの付いたクサビ型です。
根本から約半分くらい縫い付けられています。
右胸ポケット
マジックテープで開閉
胸ポケットの裏生地には穴が開いていました。
(生地の穴をポケットで隠した?)
ウエストのサイズ調整タブ
アメリカ軍のパイロットスーツに似たデザインですね。
ジッパーは上下から開くダブルジッパーですが、上のプルタブの形が違っていますね。
プルタブの刻印は「AAA」
この意味は?
左胸にはネイムタグ(?)を外した跡が!
袖ポケット
デザインは、やはりアメリカ軍のパイロットスーツやフライトジャケットに似たデザインですね。
袖ポケットのジッパー
こちらも刻印は「AAA」
袖
僅かにテーパー付き
袖口はマジックテープのついた独特の形状をしたタブで開閉・調整
ボタンはアメリカ軍の古いタイプ
ODのプラスティック製
ふくらはぎポケット
マジックテープで開閉
ポケット本体に傷が。
足首のジッパー
開くとマチがあります。
背面
迷彩生地のテープは、レスキューハーネスです。
レスキューハンドルは、前側まで縫い付けられていますね。
背面には大きなフラップが。
ボタンを外して…
インナーフラップをあげるとOKです。(何が?)
背面からは大面積のインナーフラップが。
背面のレスキューハンドル取り出し口
ジッパーで開閉
今回のモデルは、L型に生地が裂けて雑な修理がされていました。
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3 その特徴とは?
迷彩は、ライトカーキの生地に、濃淡2色のグリーン、ブラウン、ブラックで、雲や葉のようなパターンをプリントしてあります。
生地は、コットンとポリエステル混紡のツイルで、軽量ですが少々弱いようです。
(尤もこれは、経年変化かもしれませんが。でも1970年代の生地ですよね?)
デザインは、部分的にアメリカ軍のパイロットスーツやCVCカバーオールを参考にしていますね。
構成は、エポレット付き、右胸ポケット、腰スラントポケット×2、右ふくらはぎポケットで、左右非対称のデザインです。
諸外国の戦車兵LDと同じく、上半身にはレスキューハーネスが装備されています。
しかし迷彩生地で作ってあるため、強度が足りないようです。
また、背中の一部にジッパーがあって、レスキューハンドルを取り出せるようになっています。
でもかなり下の位置にあって、背もたれ付きの椅子に座っている場合、ハンドルを用いて気絶している兵士を持ち上げるのは至難の技ですね。
特筆すべきはジッパーの強度で、とても弱い部分があります。
今回のモデルも、この撮影後に洗濯したら、足首ジッパーの一部の歯が生地から取れてしまいました。
(こんなジッパー見たことがありません!恐ろしくてもう洗濯できません。)
この時代の韓国軍装備とジッパーメーカーには要注意ですね。
全体的な縫製は、少々雑ですが、強度は十分です。
こうなってくると、生地の弱さが残念ですね。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1970年代
製造場所 韓国
契約会社 韓国
製造会社 〃
表記サイズ 不明
(日本人のM〜L)
各部のサイズ(平置)
着丈 約149cm
肩幅 約47cm
身幅 約54cm
袖丈 約55cm
ウエスト 約48cm
股下 約66cm
裾幅 約18cm
状 態 中古並品
官民区分 官給品
入手場所 愛知の専門店
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
この迷彩は、あまりメリハリがないので遠く離れたところからみると、グリーングレイに見えます。
(それが狙い?)
少なくとも日本のフィールドでは、あまり効果的とは言えないですね。
生地も弱く、実用的ではないかもしれません。
韓国は、上述のとおり、この迷彩生地製の各種迷彩服をアフリカや中南米に輸出していましたね。
(そうやって外貨を稼いでいたのですね。)
その輸出先での評価も知りたいところですね。
2021年現在、戦闘服ですら数はかなり減っていて目にする機会は少なくなりつつあります。
ましてや戦車兵用カバーオールは、まず見掛けないですね。
そのためコアな迷彩服コレクター以外は、敢えて入手するほどのものでもなさそうです。
それでも探しているあなたは、東南アジア物に強いお店を覗いてみましょう。
(考えてみれば、光州事件で使用された迷彩服なので、韓国と韓国軍の歴史を語る上で貴重な資料と言えるかもしれませんね。)
私は、通常の戦闘服を探してみたいと思います。
今回は、韓国黒歴史の生き証人とも言える、韓国陸軍迷彩戦車兵用カバーオールを分析しました。
いやー軍装品って、本当に面白いですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20231223更新)
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参考:他の韓国軍装備はこちらです。⬇︎
韓国製モデル品はこちらです。⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
Twitterで見つけました。
今回のモデルと同じ迷彩生地の戦闘服着用例です。
韓国製の服にソ連製の武器という組み合わせが好き。 pic.twitter.com/IScj4k9G7h
— サモサ野郎 (@PiperH40826) 2021年3月26日
1枚目はおそらく日本人のマニアによる再現。
2枚目は、アフリカのどこかの国でしょうね。
この迷彩は、独特の雰囲気がありますね。😎
読んでいただき、ありがとうございました。
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