今回は、1970年代のアメリカ軍現地生産M65フィールドジャケットを分析します。
ベトナム戦争時代に、いくつか製造されたタイプですね。
残念ながらモデル品ですが、とてもよくできています。
今回のアイテムもデッドストックですよ!
目次
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1 アメリカ軍M65フィールドジャケット(ミッチェルパターン・ローカルメイド・モデル品)とは?
あまり知られていませんが、アメリカ軍も個人の偽装に興味を持ち、第二次大戦前から専門の研究機関で各種迷彩パターンを研究していました。
そして第二次大戦で実際に採用した迷彩は「ダックハンターパターン」ダックハンター」と呼ばれるの斑点迷彩でしたね。
(これは春夏側と秋冬側のリバーシブルで、ある程度の迷彩効果もありましたよ。)
大戦終了後もそのまま研究を続け、次に全く新しい迷彩パターンを開発しました。
それが今回のジャケットに使用されている迷彩で、「ミッチェルパターン」または「リーフパターン」と呼ばれています。
諸説ありますが1950年代に採用されました。
残念ながら朝鮮戦争には間に合わず、次のベトナム戦争ではヘルメットカバーやテントに使用されましたね。
(ベトナム戦争映画には、必ずと言って良いほど出演していますよ!)
ところがある理由で、衣類は全く製造されませんでしたね…。
今回のモデルは、そのミッチェルパターンの迷彩効果に着目した兵士が、中古テントなどを現地のテーラーに持ち込み、M65フィールドジャケットに仕立ててもらったローカルメイドのM65フィールドジャケット…を再現したモデル品です。
製造はポーランドの「ヘリコンテックス」という、有名なモデル品メーカー製ですね。
(モデル品の他、オリジナルのミリタリー関連品も製造していますね。)
さてさて、それはどんな迷彩服で、どの程度の再現度なのでしょうか?
今回は、ベトナム戦争マニアのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
まさにリーフ(葉)迷彩ですね。
ぱっと見、当時のローカルメイドそのものといった感じです。
背面
前面裏側
ちゃんと全面にライニングがあります。
背面裏側
元々リバーシブルの迷彩シェルターハーフ(テント)を改造した製品ということで、迷彩生地はちゃんとリバーシブルになっていますね。
襟周りレイアウト
襟はチンストラップで立てることができます。
前合わせはジッパーとダットファスナーです。
タグ
なんとか当時のものに似せようと努力しています。
メーカー名が記されているのは良心的ですね。
ただし、タグを外してエイジングを施したら…。
エポレット
テーパーなしのクサビ型です。
胸ポケット
ダットファスナーで開閉
腰スラントポケット
こちらも胸ポケットと同様です。
袖
袖口はマジックテープで開閉
M65としては3rdモデル以降の仕様ですね。
背中にはアクションプリーツあり。
襟内にはシェルと同じリバーシブル迷彩生地で出来たフードを内蔵。
シェルの生地は、ちゃんとリバーシブルになっています。
(裏面は秋冬用。プリントズレが殆どないのが惜しいですね。)
襟のジッパー
無刻印です。
前合わせ裏側のライナー用ボタン
ウエストのドローコード
裾のドローコード
ちゃんとゴムになっていますよ!
メインのジッパー
こちらも無刻印ですが、スコービル(SCOVILL)タイプを再現
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3 その特徴とは?
迷彩は、ライトグリーンの生地に、濃淡2色のグリーンで葉を、オレンジブラウンで枯葉を、ブラウンで枝を描いています。
まるで、ある種類の植物を観察して、そのまま図案化したような印象ですね。
当時のローカルメイドも、支給されていたリバーシブル迷彩シェルターハーフ(テント)生地を改造して造られているので、このジャケットもちゃんと再現されていますね。
生地はコットン製のサテンで、やや厚く風を通しにくいです。
(防寒用ですね。)
肌触りは、少々ガサガサしていますよ。
デザインは、とても忠実にM65フィールドジャケット(3rdモデル)を再現していますよ。
構成は、エポレット付き、胸ポケット×2、腰ポケット×2で、襟内にはフードを内蔵しています。
(フードはシェルと同じ生地で、しっかりしていますよ。)
全体的な縫製は正確で、官給品M65ほどではありませんが強度もある程度備えているようです。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 2010年代
製造場所 ポーランド
契約会社 ポーランド
製造会社 〃
材 質 コットン
表記サイズ M–R
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約82cm
肩幅 約52cm
身幅 約61cm
袖丈 約65cm
状 態 デッドストック
官民区分 民生品
入手場所 ヤフオク
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
当初、この迷彩は「リーフパターン」と呼ばれていました。
(まさに見た目どおりですね。)
ところがいつの間にか「ミッチェルパターン」と呼ばれるようになりましたね。
これは、後に採用される「ERDL迷彩」(いわゆるグリーン&ブラウンリーフ)との区別をつけるための処置ではないでしょうか?
(なぜミッチェルなのかは不明なのですが……)
それはともかく、この迷彩の開発と前後して当時の敵国であったドイツから、大量の迷彩服が鹵獲されてきました。
これを見たアメリカ軍の研究機関は立ち直れないほどの強い衝撃を受けます。
何故なら、葉や岩石などを図案化した自分たちの迷彩パターンより、ドイツの迷彩は遥かに効果的かつ汎用性に優れていたからです。
彼らは自分たちの研究していた迷彩が、とんでもなく時代遅れだった事を一瞬で悟ります。
これ以降ドイツ軍迷彩を徹底的に研究し、改良を加えていきました。
そうして開発・採用されたのが、上述した「ERDL迷彩」でした。
面白いですね。
今回のモデルに使用されたミッチェルパターンも、その時代遅れの考え方で開発された古い迷彩の一種だったようです。
(大戦終了後間もなくには、パターンは完成していたとの説もあります。)
最終的にこの迷彩は、効果的ではないとの判断から、一部の装備に使用されはしましたが、最後まで衣類に用いられることはありませんでした。
(ベトナム戦争で迷彩服支給が遅れたのも、これが理由かもしれませんね。)
しかし、政府や軍の研究機関と前線の兵士とは考えが違っていたようですね。
前線での迷彩服不足は、かなり深刻で、兵士に創意工夫を促したようです。
さて、今回のジャケットですが、忠実にM65フィールドジャケットを再現しています。
…ということは、第一級の防寒ジャケットと言えますね。
(勿論、官給品の専用ライナーをそのまま装着できますよ。)
また、この迷彩パターンは日本のみならず世界中でも大人気で、専用のサイトを運営している方もいるくらいです。
(そこを見越しての製品化だったようですね。ポーランドも上手です。)
ただし、コアなミリタリーマニア以外では、この迷彩パターンは賛否両論です。
(単なる「葉っぱ」の模様をファッショナブルと感じるか否か…ですね。)
幸いなことに、モデル品なので当時の1/10くらいの価格で入手できるのは、コレクターにとっては有り難いですね。
(現在はカタログ落ちしていますが、ネットオークションなどで入手可能ですよ。)
品質も良く、ヒストリカルゲームを含むオールラウンドで使用できそうです。
驚くことに、このパターンの色違いのモデル(しかもM65似デザイン)をいくつかの国が採用していましたね。
でも…その話はまたいつか。
今回は、モデル品ながらよくできたミッチェルパターンのM65フィールドジャケットを分析しました。
いやー軍装品って、モデル品も素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20240725更新)
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参考:ベトナム戦争時代に製造されたと思われるローカルメイドの迷彩服(モデル品を含む)に関する記事はこちらです。⬇︎
ベトナム戦争時代の各種迷彩服(モデル品を含む)に関する記事はこちらです。 ⬇︎
他のミッチェルパターン採用国の装備に関する記事はこちらです。⬇︎
アメリカ軍を含む世界のM65フィールドジャケット系装備に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍の迷彩服に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍装備のモデル品に関する記事はこちらです。⬇︎
他のアメリカ軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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