今回は、1960年代のアメリカ海軍デッキジャケットを分析します。
大戦中に採用したN-4デッキジャケットの後継モデルですね。
シェルが褪色したら「なすび色」になる面白いジャケットですよ。
中古品で残念ポイントがありますが、今回敢えて分析してみました。
あなたの参考になれば幸いです。
目次
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1 アメリカ海軍デッキジャケット (ユーティリティジャケット)とは?
第二次大戦中に採用されたN-4デッキジャケットは、陸軍のアメリカ陸軍M41フィールドジャケットを参考に開発された軽快なジャケットでした。
しかし、同時にM41の欠点もそのまま受け継いでしまったため、何かと問題のあるジャケットでもありました。
問題点とは概ね以下の2点です。
・シェルがコットンポプリンなので、すぐに擦り切れた。
・ライニングがウールであったため、クリーニングが少々面倒であった。
これに対して、アメリカ海軍は1950年代から後継モデルの開発に乗り出します。
そして1960年代に開発されたのが、今回のモデルです。
デザインを簡略化、マテリアルを近代化してカラーもネイビーBLUEに変更されましたよ。
さてさて、それはどんなデッキジャケット(ユーティリティージャケット)なのでしょうか?
今回は、アメリカ海軍マニアのみならず、春や秋に着用する衣類に悩んでいるあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
中古品ならではのエイジングがたまりませんね。
背面
前面裏側
背面裏側
ライニングは濃いブルーの化繊です。
前合わせはジッパーとボタンです。
タグ
年度が記されていませんが、この表記は1960年代前半契約品の特徴です。
謎のステンシル
持ち主の名前と認識番号でしょうか?
腰ポケット
ポケット内部もシェルと同じ生地です。
袖
僅かにテーパーが付いていますね。
脇の裏側にはシェルと同じ生地で補強してありました。
これはN-4も同じでしたね。
ボタンは黒に近いブルーのプラスティック製
ジッパー
刻印は「CONMAR」
大戦中のN-4から続く欠点。
使用によって袖口がこんな風に擦り切れてきます。😞
それでも生地がサテンになったので耐久性は向上しているのですが…🤔
(ここまで使用されるのは珍しいですね。)
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3 その特徴とは?
シェルはN-4のODコットンポプリンから、ネイビーブルーのコットンサテンに変更されました。
やや厚くなって、防風性能や耐久性も向上しましたね。
カラーも一新でスマートに見えます。
このネイビーブルーは、当初濃いブルーなのですが、日射や洗濯で次第に赤みが出ていて濃いバイオレットになっていくのが特徴です。
(ブルーのままの生地もあります。)
デザインは、殆どN-4と変わりませんが、より着丈を長くし、ジッパーも上下に延長されていますよ。
(これでやや防寒性能アップ?)
構成は、エポレットなし、腰ポケット×2で内ポケットもないシンプルなデザインです。
N-4にあった背面の複雑なデザインは省略されています。
また、ライナーはN-4のウールフランネルから化繊(おそらくナイロンもしくポリエステル?)の保温力のある生地に変更されています。
(これで一般家庭用洗濯機でも洗濯が可能になりました。)
全体的な縫製は、少々雑なところもありますが、強度は十分です。
一点を除き、長い期間使えそうですね。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1960年代
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 コットン
ポリエステル
表記サイズ 44
(日本人のL〜XL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約70cm
肩幅 約46cm
身幅 約64cm
袖丈 約61cm
状 態 中古並品
官民区分 官給品
入手場所 愛知県の古着店
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
あなたもジャケットの画像でお気付きですよね?
実は生地をサテンに変更しても、袖の擦り切れはやはり発生しました。
(ジャケット自体を数年で更新すれば問題なかったのかもしれませんが……)
そもそも使用に伴う擦り切れは、コットンという材質の宿命なので、抜本的な改善が必要なのかもしれませんね。
(フランス海軍防寒デッキジャケットとか、ノルウェー陸軍M85迷彩スモックは、袖口を別生地で補強していましたね。)
でもアメリカ軍は「そこまでする必要なし!」…とのスタンスのようです。
一方、このジャケットの優れたところは、秋や春などのやや肌寒く感じる時期にぴったりだというところですね。
やや厚みがあるシェルに、保温力のあるライニング。
真冬の防寒着のように重くなく、かといって化繊の防寒着のように軽すぎず、はたまた夏用ジャケットのようにスカスカではないですね。
どこか安定感、安心感のある着心地が魅力ですよ。
しかもエイジングによるカラーが独特なので、あなたの秋のファッションにおすすめです。
今回のモデルは、1980年代に新型のデッキジャケット(ユーティリティージャケット)に更新されるまで、主に艦艇乗組員によって使用されました。
だからでしょうか?
現在でも比較的多く残っているアイテムです。
しかし2020年現在、程度の良い官給品はさすがに数が減って、価格も上昇していますね。
かつては良質なモデル品も販売されていましたが、現在では入手困難です。
探しているあなたは、高額で販売されていることの多い実店舗よりも、ネットで購入する方が比較的安価に入手できる場合が多いようです。
また、各艦艇のパッチ(ワッペン)や階級章が縫い付けられているモデルもあります。
こちらはさらに高額で入手困難ですが、ぜひコレクションして将来用に保管しておきましょう。
(将来、きっとあなたを助けてくれますよ!)
私は、今回のモデルの修理方法を検討するとともに、デッドストックやパッチ付き極上品を探してみたいと思います。
今回は、1960年代のアメリカ海軍デッキジャケットを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20231229更新)
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参考:今回のモデルと同じですがデッドストックに近い個体に関する記事はこちらです。⬇︎
各国を含めたデッキジャケットに関する生地はこちらです。⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
Twitterで見つけました。
フォークランド戦争で勇名を馳せた、シュペルエタンダール攻撃機の訓練風景です。
着艦するフランス海軍の艦上攻撃機シュペルエタンダールの映像がドキドキする。 pic.twitter.com/TnsItGgONe
— sato_kurumi(改) (@25bravofox3) 2020年10月14日
着艦するときは、こんなに小刻みに操縦桿、トリム、スロットルを動かすのですね。
(今のFA–18なんかもそうなのでしょうか?)
また、エグゾセミサイルを発射した後、すぐに離脱しているのが印象的です。
こんな画像が普通に見られるなんて、本当に良い時代になったものですね。
勉強になりました😃
読んでいただき、ありがとうございました。
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