今回は、1980年代のアメリカ空軍防寒ジャケットを分析します。
かつてフライトジャケットでしたが、現在は「極寒候期用パーカー」と名称が変更されているモデルですね。
本来は、1945年採用のN-3を起源とするヘビーゾーン(–10℃〜–30℃)を担当していました。
今回も中古ですが、程度は良好ですよ!
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目次
1 アメリカ空軍防寒パーカーN-3B(6279J・セージグリーン)とは?
第二次大戦くらいまでは、シープスキン(羊革)製やコットン製のフライトジャケットを主に使用していたアメリカ陸軍航空隊。
しかし第二次大戦中にナイロン製衣料品が完成すると、1945年以降のフライトジャケットは、次第にナイロン製へと移行していきましたね。
やはり動物の皮革やコットンと比べると、遥かに軽量で強度もありコストパフォーマンスが高かったので、当然な流れと言えますね。
そのうちヘビーゾーンを対応したのはN-2とN-3と呼ばれるフライトジャケットでした。
この2種類のフライトジャケットは、数々の改良を重ねて現在も使用されていますね。
このブログでも、以前ジャケットタイプのN-2Bという、ショート丈のモデルを分析しました。
今回のモデルは、N-3Bというコートタイプのモデルになります。
(ただし、シェルの材質をナイロンから大幅に変更したモデルです。)
伝統のデザインを維持しながら、材質の徹底的な近代化を図った優秀な防寒着ですね。
さてさて、それはどんな防寒パーカーなのでしょうか?
今回は、アメリカ空軍装備マニアのみならず、まだこのパーカーをお持ちでないあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
白いファーが目立ちますね。
背面
シェルはナイロンとコットンの混紡です。
前面裏側
ライニングは濃いグレイです。
インターライニングは軽量で暖かいポリエステル製ですよ。
背面裏側
フードは内側にも、ポリエステル製(アクリルかも?)のボアがあります。
前合わせは、ジッパー 、ボタン、ダットファスナーです。
N-3A以前の型より、前面のストームフラップが短くなっています。
これは着用した時の動きやすさを考慮したものです。
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1981年度契約品で、サブタイプは「J」
(比較的最近のモデルですね。)
メーカーはあまり知られていませんね。
胸ポケット
2個のダットファスナーで開閉
ポケット内側は毛布生地です!
ハンドウォーマーも兼ねていますね。
ポケットの縁がすぐに擦り切れるのでここは要チェック箇所です。
腰ポケット
こちらもダットファスナーで開閉
胸ポケット同様、内側は毛布生地です。
ん?よく見ると生地の色が2種類ありますね。
ジッパーは「SCHOVILL」で、少々動きが悪いです。
後でローソクの蝋(パラフィン)を塗っておきましょう!
左袖のシガレットポケット
ジッパーの生地は、写真のようなカーキの他に数色あります。
前身頃のボタンは、コード(ひも)のループで留めます。
このボタンが稀少ですよね。
袖
単純な構造ですが、肘に大面積の補強生地が。
袖は内側にもニットがある二重袖です。
(最新型モデルでは、外側の袖が省略されてニット剥き出しになったようです。N–3、N–3Aと同じですね。)
腰にはドローコードも準備
フードはアクリル製のフェイクファー付きです。
モデルによってはコヨーテ製もありますよ💕
大きくて深いフードですね。
フード頂部にはストラップがあって、金属製のバックルでフードのサイズ調整できます。
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3 その特徴とは?
まずシェルはセージグリーン(というよりはグレイ)の薄いコットンとナイロンの混紡です。
オックスフォードと呼ばれる場合もありますね。
これとは別に、セージグリーンのコットンサテンモデルも存在します。
(もしかしたらサブタイプが違っているかも。)
細い糸で細かく織られていて、軽量ながら防風性能が高いですね。
インターライニング(中綿)は、軽量なポリエステル製でとても保温力が高いことで知られています。
(M65ジャケットのライナーやポンチョライナーと同様ですね。)
デザインは、N-3から大きく変わらず、フード付き、胸ポケット×2、腰ポケット×2、シガレットポケットです。
胸、腰ポケット内側の生地は毛布生地で、ハンドウォーマーを兼ねていますよ。
これは有難いですね。
全体的な縫製は、少々雑ですが、強度は抜群なアメリカ軍スタンダードです。
サイズ感は、MA-1などより、ややゆったりしていますね。
(最も外側に着る衣料品なので、重ね着を計算した作りになっているようです。)
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1981年
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 コットン
ナイロン
表記サイズ M
(日本人のL〜XL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約84cm
肩幅 約51cm
身幅 約65cm
袖丈 約63cm
状 態 中古上品
官民区分 官給品
入手場所 浜松の専門店
入手難易度 2(やや困難)
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5 まとめ
今回のモデルの先祖とも言える1945年に開発されたN-3は、品名が「飛行服」でした。
しかし次第に格下げされて、今では「極寒候期用パーカー」に変わり、空中勤務員以外でも着用しているようですね。
皮肉なことに、このジャケットもパイロット装備から外れる頃から、材質の見直しが図られて、より使い易くなっていきました。
面白い現象ですね。
さて今回のモデルですが、実際に着用すると、とても暖かいジャケットです。
フードもボア付きで、かつ深いので強風時でも寒さを感じませんね。
シェルもオックスフォードなので、ナイロン100%よりやや火にも強いのも助かります。
使える防寒着ではないでしょうか?
動き回るサバイバルゲームはともかく、比較的動きの少ない野鳥観測、狩猟(アンブッシュ:待ち伏せ)、釣りなどには向いているかもしれません。
バイクでの使用は、防寒トラウザースであるF-1Bとの併用で、真冬のツーリングも可能です。
(でも、フードや裾が少々邪魔ですね。アメリカン以外では使い辛いかも。)
幸いな事に、N-3BもMA-1などと同じく、新しい型ほど不人気で、安価で販売されているようです。
(今回のモデルは、中古品だったのでめちゃ安かったです。)
実用目的かつファッションにこだわらなければ、新しい型の中古品はお買い得ですね。
(価格を気にしなければ、新しい型は現在でもデッドストックの官給品が購入可能ですよ!)
一方ナイロンモデルは全般的に高価ですが、機能が殆ど変わらないモデル品も多数販売されていますね。
こちらはカラーも豊富ですよ。
初心者の貴方は、まずは官給品の中古(ネットが比較的安いです。)もしくは、モデル品から始めてみましょう。
将来の事を考えている方は、各年代のデッドストック入手を目指しましょう!
(理由は、もうお判りですよね!)
今回は、アメリカ空軍の以前フライトジャケットだった防寒パーカーを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20231117更新)
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参考:他のアメリカ空軍装備品に関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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