今回は、1970年代から1980年代にアメリカ軍が使用した迷彩2種を分析します。
いずれも一世を風靡した(?)迷彩ですね。
でも単体で見ると、どちらがどちらななのか、すぐにはわからない場合があります。
そこで今回は程度の良い中古品M65フィールドジャケットで比べてみることにしました!
あなたの参考になれば幸いです。
目次
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1 アメリカ軍リーフパターン迷彩とウッドランド迷彩の違いとは?
⑴ リーフパターン迷彩
諸説ありますが、リーフパターンはベトナム戦争時代に開発されたERDL迷彩の俗称ですね。
当初のグリーンを基調としたモデルが開発され、のちにブラウンを基としたものも採用されました。
(前者をグリーンリーフ、後者をブラウンリーフと呼ぶ場合もありますね。)
ベトナム戦争では、とても効果的であったとの情報があります。
ベトナム戦争当時のリーフパターン迷彩
グリーンリーフ
ブラウンリーフ
いずれも細い葉のような模様であったため、「リーフ」という名称(俗称?)が一般的になったようです。
この頃のリーフパターンは、各色の境目にぼかしが入っているなど、手の込んだプリントが施されていました。
ベトナム戦争後、より簡略化されたブラウンリーフパターン(色調を変更し、ぼかしを無くしたもの)が採用されましたよ。
こちらは上述のモデルと区別するため、LCリーフと呼ばれることがあります。
(今回のモデルは、このLCリーフパターンになります。)
ベトナム戦争後のリーフパターン迷彩
(LCリーフ)
リーフパターン時代の迷彩ユニフォームには、ベトナム戦争の混乱期は当然ですが、戦後も明らかに色調が大きく違ったモデルもありました。
(製造誤差などが指摘されていますね。)
この迷彩については、出現時に大きな衝撃を世界中に衝撃を与えたことから、多くの国でコピーが製造されたことでも有名でしたね。
⑵ ウッドランド迷彩
前作のリーフパターンは、熱帯などの緑の多いところでは効果的であったものの、より汎用性の高い(どこの地域でもそれなりの効果があるという意味)迷彩として開発されたのが、ウッドランド迷彩です。
リーフパターンをそのまま拡大し、僅かに色調を変えたのが特徴です。
この迷彩の採用と同時に、アメリカ全軍(陸軍、海軍、空軍、海兵隊)に同じ迷彩服を支給するようになったため、ある意味画期的な迷彩でしたね。
勿論、この迷彩も多くの国が類似迷彩を採用しました。
⑶ リーフパターン迷彩およびウッドランド迷彩の原型
リーフパターンは、第二次大戦中にドイツ軍が開発した「ライバーマスター迷彩」が原型です。
この迷彩は、具体的な地形地物または植物を図案化したものではなく、抽象的な模様と所々にカーボンブラックを配置して、人体の輪郭や形状を視覚的に分裂させる効果がありました。
ドイツのライバーマスター迷彩(の類似迷彩)を採用したスイス軍スモック
全体的にレッドを基調としたこの迷彩は、一説には対赤外線暗視装置用との説があります。
勿論アメリカ軍は、そのまま使用するのには問題があると判断。
独自の色調にグリーン系に変更して採用したのがリーフパターンでした。
つまりウッドランド迷彩の祖父にあたる迷彩とも言えます。
以上のことを踏まえて、今回は2つの迷彩を迷彩服コレクション初心者のあなたと一緒に、比べてみましょう!
2 リーフパターン迷彩及びウッドランド迷彩の写真
⑴ リーフパターン迷彩M65フィールドジャケット
1980年代の市販品です。
(おそらくA社ではないかと推測)
前面
背面
⑵ ウッドランド迷彩M65フィールドジャケット
1990年代の官給品で4thモデル。
前面
背面
⑶ 両迷彩の比較
前面
背面
リーフパターン迷彩生地
熱帯用の薄いコットンリップストップです。
ウッドランド迷彩生地
温帯から寒帯で使用するコットンサテンの生地ですね。
(熱帯用のリップストップもあり。)
リーフパターン迷彩生地裏
ライトカーキの生地です。
ウッドランド迷彩生地裏
薄いミントグリーンの生地
両迷彩の大きさ比較
左:リーフパターン迷彩
右:ウッドランド迷彩
同じパターンながら一つ一つの大きさが違っていますね。
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3 その特徴とは?
リーフパターン迷彩とウッドランド迷彩のパターン自体は同じです。
ただ、ウッドランドパターンは、リーフパターンを約1.5倍拡大していますね。
(単位面積あたりのパターンサイズを比べてみると識別可能ですね。)
またその構成色については、
リーフパターン:カーキ、グリーン、ブラウン(ややイエロー混じり)、ブラック
でやや暗いイメージなのに対し、
ウッドランド:タン、グリーン、ブラウン、ブラック(濃いブルーという説も。)
で、明暗のコントラストがやや強いです。
この辺りが識別点ですね。
迷彩のパターンサイズと色調が違うので、受ける印象も全く違ってくるのが面白いです。
因みに、これまでグリーンリーフのM65フィールドジャケットは官民とも製造はされていませんよ。
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4 まとめ
面白いことに、M65フィールドジャケットには、官給品としてリーフパターン迷彩は採用されませんでした。
(防寒着としてはN–3Bのライニングに使用された程度ですね。)
何故でしょう?
それはともかく、こうして比べてみると、確かにリーフパターンは全体的に細かい迷彩ですね。
ジャングルなどでは効果を発揮するかもしれませんが、その他の地域では少々人体の輪郭が浮いてしまうかもしれません。
その点ウッドランドなら、大まかな迷彩パターンが功を奏し、より汎用性が高まっている気がしますね。
むしろ、その後の各種デジタル迷彩やマルチカムよりも優れている面もあり、捨て難い迷彩とも言えます。
残念ながらアメリカ軍では、ごく一部の部隊を除き、ウッドランドは廃止されました。
また、リーフパターンはウッドランド採用に伴い、短い期間で廃止されています。
でもアメリカ軍でない我々は、これらの優れた迷彩アイテムをまだまだ使用することができます。
サバイバルゲーム、狩猟、野鳥観測、登山、キャンプそして何よりファッションとして活用してみては如何でしょうか?
今回のウッドランド迷彩のM65フィールドジャケットに関しては、まだまだ官給品が入手可能ですし、市販品もありますね。
残念ながらリーフパターン迷彩のM65フィールドジャケットは、数も減ってプレミアが付いていますが、入手できない訳ではないようです。
(まずはこれから集めてみましょう!)
あなたもぜひ探してみてください!
今回は、アメリカ軍の迷彩2種を比較・分析しました。
いやー軍装品て、本当に素晴らしいですね!
それでは次回をお楽しみに!
(20240130更新)
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参考:アメリカ軍リーフパターン迷彩装備に関する記事はこちらです。⬇︎
アメリカ軍を参考にした他国のリーフパターン迷彩装備に関する記事はこちらです。⬇︎
アメリカ軍ウッドランド迷彩装備に関する記事はこちらです。⬇︎
アメリカ軍を参考にした他国のウッドランド迷彩装備に関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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