
今回は、1980年代の旧ソ連空軍コットンフライトジャケットを分析します。
以前分析した旧ソ連空軍防寒迷彩フライトジャケット(ブタン迷彩)と同じクラスのフライトジャケットですが、ライ二ングが大きく違っていました。
重量がありますが、とても暖かいのが特徴です。
実際にパイロットが使用していたもので、所々使用感がありますが程度は良好ですよ!
目次
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1 旧ソ連空軍コットンフライトジャケット(ブルー・シープスキンボアライニング)とは?

かつてパイロットが着用するフライトジャケットには、動物の皮革が多く使用されていました。
…というのも現代のようにナイロンやノーメックスなどの優秀な素材がなかったからですね。
実際に皮革製のジャケットを着用すると、防風性能は完璧で、しかも使う度に自分の身体にフィットしてくる感じは素晴らしいものですね。
でも量産には向いていないことから、皮革製フライトジャケットは1950年代から急激に減っていきました。
でも、皮革と他の素材のハイブリットタイプのフライトジャケットも存在したようです。
今回のモデルは、旧ソ連空軍がパイロットに支給していたコットン製フライトジャケット…なのですが、ライニングにまさかの材質が使用されていました!
さてさて、それはどんなフライトジャケットなのでしょうか?
今回は旧ソ連軍曹パイロット装備マニアのみならず、重くても本当に暖かいフライトジャケットをお探しのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
一見よくある旧ソ連軍のコットン単色フライトジャケットですね。

背面

前面裏側
でもライニングは、なんとシープスキンでした!

背面裏側

襟周りレイアウト
襟ボアも天然ムートンでモフモフです。💕

襟裏にはチンストラップがあって…

ボタンを留めることで襟を立てることができます。
これで首筋の保温は充分ですね。

前合わせはジッパーと裾のダットファスナーです。
前合わせのストームフラップ(ウインドシールド)に注意。

シープスキンが足りなかったのか、左肩の一部には三角形のレザーで補修されています。

ジッパー
無刻印ですね。

ジッパー差し込み部は、まだまだキレイです。

ダットファスナーはスチール製なので、例によって一部錆びています。

胸ポケット
ジッパーで開閉。

右胸ポケット
内側はシェルと同じ生地…なのですが、

マカロフ用のマガジンパウチを兼務していました。

左胸ポケット

ポケット内側生地は三角形です。
これは…

マカロフ拳銃のホルスター(拳銃入れ)を兼務しているからですね。
マカロフ用の落下防止用のランヤード(フック付)も備わっていました。

腰ポケット
内側はライトブラウンのウール製起毛生地。
ハンドウォーマーも兼ねているようです。



腰ポケット口には別生地(ブラック)で補強されています。

タグ
左腰ポケット内にあるため、ジャケットの使用にともない印字が薄れています。😅

辛うじて1984という数字が見えますね。

袖
緩いテーパー付き


袖口は二重袖で内部袖にはグリーンのニットを配しています。

袖口裏側

左袖ポケット
ダットファスナーで開閉。
ペン用で3本格納可能。



脇は別生地でより動きやすくするデザイン。

裾左右にあるサイズ調整ストラップ
2個のDリングとストラップで調整。

ボタン
ブラックの艶ありプラスティック製。
片面のみ使用。

背面右には錆汚れあり。

ラインングに使用されているシープスキンの影響で、意外に厚みのあるジャケットになっています。

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3 その特徴とは?
シェルはネイビーブルー(どちらかというと藍色)のコットンツイル製で、やや厚く防風性能が高そうです。
一方ライニングは、驚くことにシープスキン(羊革)で、イメージとしては大戦中のアメリカ陸軍航空隊レザーフライトジャケットB-3をコットンで包んだ感じですね。
そのため全体的に重量のあるフライトジャケットですよ。
デザインは、ボア襟、エポレットなし胸ポケット×2、腰ポケット×2で、左胸ポケットはホルスター(拳銃入れ)を兼務、右胸ポケットには拳銃用のマガジンパウチ(弾倉入れ)があります。
また襟はチンストラップで立てることができ、裾左右にはサイズを調整するストラップがあります。
全体的な縫製は、皮革とコットンという相反する素材を使用しているわりには、丁寧かつ正確です。
これはかなり高い技術を用いて仕立てられているのでは?
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1984年
製造場所 旧ソ連
契約会社 旧ソ連
製造会社 〃
材 質 コットン
シープスキン
ウール
表記サイズ 52-4
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
肩幅 約50cm
身幅 約61cm
着丈 約73cm
袖丈 約65cm
状 態 中古上品
官民区分 官給品
入手場所 高知の古着店
入手難易度 4(極めて困難)
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5 まとめ
その昔、このフライトジャケットを書籍で発見した時には、まさかライニングがシープスキンだとは思いませんでした。
(入手してビックリ!)
一見地味なこのフライトジャケットに隠された秘密(でもありませんが…)がわかって嬉しかったです!
「羊の皮を被った狼」という諺がありますが、今回のモデルをこの諺ふうにいうなら「木綿の皮を被った羊」と言えそうです。
一見ごく普通のコットン製ジャケットながら、防風性能と保温力はピカイチ…素晴らしいですね。
実際に着用してみると、重量はあるものの襟ボアも加わってとても暖かいですよ。
(サイズがジャスト…というのも大きな意味がありそうです。)
またシープスキンなので、万が一汗をかいても羊毛なので冷えませんし、汗自体も皮革が吸ってくれそうです。
ただしコットンとレザーの合わせなので、クリーニングは少々難しいかも。
(専門店にお任せした方が良いかもです。)
今回のモデルも、コットンのシェルにレザーの縮みによる不自然なシワができていますね。
また水濡れには要注意です。
コットンが水を吸って、さらに重くなるかもしれません。
…でもそれは些細なことですよね。

さて、この優秀なフライトジャケットですが、入手は極めて困難です。
私も偶然入手したに過ぎません。
でも、全く入手できないわけではなさそうです。
海外のネットSHOPやオークションでは、時々見かけますね。
探しているあなたは、ぜひチェックしてみましょう。
私は同モデルのデッドストックを探してみたいと思います。
今回は、旧ソ連空軍の素晴らしいフライトジャケットを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それではまた、次回をお楽しみに!
(20251204更新)
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参考:他の旧ソ連空軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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